サヨナラヒーローが一転、敗戦の象徴になってしまった。阪神マット・マートン外野手(33)が2回、左翼守備で痛恨の失策。無死一、二塁からアンダーソンの打球に追いつけない上に後逸し、先制の2失点を招いてしまった。打っては1回と8回に併殺打で攻撃を分断。今こそさけびたい、「ディスイヤー、ガンバリマショウ!」。

 その一挙手一投足は懸命だった。ツキがなかったと表現するしかない。2回表、無死一、二塁。6番アンダーソンが高々と打ち上げた。落下地点は左翼線の前方。左中間寄りにポジショニングしていたマートンは大きく両腕を振り、懸命に走り始めた。

 打球が左翼線へ逃げる。間に合わないと悟ると、捕球の構えでフェイントもかけた。だが、ボールは目の前でイレギュラーバウンドし、わずかに後逸してしまった。二塁走者阿部が三塁ベースを蹴る。すぐさま本塁へ力強く遠投したが、先制のホームインを許した。記録は失策。痛恨のプレーとなった。

 マートン ああいう形になってしまったけど、自分としては、できることをしっかりやった結果だから。明日からも変わらず集中して頑張っていくだけだよ。

 この回2失点を呼び込む形となったプレー。悔しさを押し殺して振り返った本人を、山脇外野守備走塁コーチはフォローした。「スタートはちょっと遅かったけど…。イレギュラーやろ。昨日の孝介(福留)の時みたいなスピンがかかっていたからな」。前日9日巨人戦の10回表にも、確かに右翼線のライナーが右翼手福留の目の前でイレギュラーバウンドしていた。今回も決して手を抜いた結末ではなかった。

 打っても、野球の神様にそっぽを向かれた。1回1死一塁では強いゴロが遊撃坂本の正面を突き、併殺打となった。4回2死では二直。2点を追う8回無死一、三塁ではカウント2-2から、沢村の抜けたフォークをとらえられず再び遊ゴロ併殺打に倒れた。三塁走者をホームインさせたが、反撃ムードをしぼめてしまった事実は否めない。

 マートン 昨日はいい形で終われた。今日も、もう1回いい形でいければ良かったんだけどね…。

 前夜は延長11回にサヨナラ打を決め、文句なしのヒーローとなった。一夜明けての一戦は2併殺打を含む4打数無安打、1失策と苦しんだ。マートンの言葉を借りれば、これもベースボールだ。6回には寸分狂わぬスライディングキャッチを披露するなど、最後まで全力を尽くした。野球の神様は次回、また微笑んでくれるだろう。【佐井陽介】

 ▼マートンの1試合2併殺打は、6月4日ロッテ戦(甲子園)に次ぎ今季2度目。前日9日巨人戦でも1併殺打があり、連続する2試合での合計3併殺打は来日初となった。今季の19併殺打は現在セ・リーグ最多で、昨年のシーズン19併殺打と並ぶ。自己ワーストは13年25併殺打。