快投で先輩を花道に送り出した。中日若松駿太投手(20)が巨人を相手に7回1/3、3安打無失点でチームを3連勝に導き、今季9勝目を挙げた。今季限りで引退を表明し、現役ラスト登板が予定されていた朝倉健太投手(34)にベストな形でスイッチ。最高の舞台を演出した。若松は、朝倉以来となる高卒3年目での2桁勝利に王手をかけた。

 特別な試合だった。お立ち台に上がった若松はホッとしたように笑顔を浮かべた。

 「今日は絶対に負けられない試合だった。特別な気持ちでマウンドに上がりました。あそこでうまく朝倉さんにつなぐことが出来て本当に良かった」

 引退を決断した34歳朝倉にとっては、プロ16年間で最後となるマウンド。展開次第では登板も微妙だったが、5点リードをしっかり守り、大先輩の花道を最高の形で整えた。

 弱冠20歳ながら、そのマウンドさばきは風格すら漂う。2回には阿部に内角球を左翼線二塁打にされたが、坂本、阿部、アンダーソンのクリーンアップに許したヒットはこの1本だけ。8回途中無失点で93球と、完封も視野に入る好投だった。8月30日巨人戦(東京ドーム)で同じ5点をリードしてもらいながら、5回6失点で負け投手になっていた。「やり返す気持ちでいった」。きっちりとリベンジに成功した。

 新人王を争う高木勇との直接対決を制し、2桁勝利まであと1つに迫った。中日で高卒3年目の2桁勝利となれば、02年朝倉の11勝以来となる。「(朝倉は)後輩のことを思ってくれる先輩。今日は『ありがとう』と言われました」。入団間もない頃は、朝倉がファームで苦闘する姿を見てきた。尊敬する先輩の1人だ。

 シーズンは残り8試合。若松の登板は多くて2試合とみられる。「ここまで来たら2桁勝てるように頑張りたい」。最後まで全力で腕を振る。期待の成長株が、背番号14の背中を追いかける。【桝井聡】

 ◆新人王資格 初めて支配下登録されて5年以内。前年までの出場が投手なら30イニング以内、野手なら60打席以内。3年目の中日若松は昨年まで通算16回1/3で、資格を有している。