虎が崖っぷちに追い詰められた。阪神は首位ヤクルトに競り負け、自力優勝の可能性が消滅した。同点の6回裏、1死満塁から大和が初球スクイズを失敗(ファウル)。和田豊監督(53)の勝負手が不発に終わり、直後の7回に勝ち越された。ゲーム差なしの3位巨人と今日から敵地で2連戦。前を向け! 牙をむけ! 残り10試合、最後の意地を見せてくれ-。
わずか数センチの差が勝負の分かれ目になった。痛恨のワンプレーで、阪神が自ら勝機を手放してしまった。同点の6回裏、2番手ロマンの制球が乱れ、四球3つで塁が埋まった。1死満塁で8番大和。その初球だった。不意にバントの構えをとる。スライダーは真ん中高めへ。甘いコースだった。しかし、バットをかすめてファウルになる…。
執念だろう。満塁でスクイズ。3四球でストライクを欲しがる投手心理を見透かし、初球に勝負手を繰り出した和田監督の表情は曇る。「6回に何とか勝ち越したかったところだったけどな…。ストライクゾーンだったからな。一発で決めてほしい…」。絶好球を仕留められず、流れはヤクルトへ。大和が「ストライクゾーンに来ていたので決めないといけなかったです…」と唇をかめば、平田ヘッドコーチも「当てなきゃという気持ちが強すぎて、硬くなっているんだろうけどね」と厳しい顔つきだ。
これがV争いの重圧か。大和は三ゴロに倒れ、藤浪に代え、満塁機に強い代打新井を送るも空振り三振…。勝ち越しを確信していた超満員の甲子園はため息がもれる。直後の7回表に必勝パターンの安藤が強力打線につかまり、万事休す。致命傷の3点を奪われ、今季初めて自力優勝の可能性が消えてしまった。
基本に忠実に、細かい野球をできないと大一番に勝てない。実は、打つべき手は打っていた。真夏に入ると、試合前練習でコーチ陣の配置を替えていた。通常ならフリー打撃を行うケージ裏に陣取る関川打撃コーチが、バントマシン横でつきっきりの指導。平田コーチも「細かいプレーが大切になる」と説明した。現役時代、101犠打の関川コーチを指南役にバントを重視するチーム方針を立てたが勝負どころでミスが出た。3回には、藤浪もスリーバント失敗で走者を送れず、指揮官も苦言を呈する。
「そこらへんだろうな。やはり、接戦しているなかで、そういうところで同じ失敗しとったらね。攻撃のリズムも作れない」
勝てば同率首位に返り咲く天王山を転げ落ち、3位巨人が勝率2毛差に肉薄する。自力V消滅にも、和田監督は「まったく目指しているものは変わらないし、そんなもん1日で変わる。何とかまた自力優勝を復活させるように、明日以降やっていく」と前を向く。今日22日から舞台は東京での巨人2連戦。伝統の一戦は今季を左右する大決戦になる。【酒井俊作】
▼今日22日に阪神が巨人に勝ち、ヤクルトが広島に敗れると、阪神の自力優勝が復活、ヤクルトの自力Vが消滅する。23日以降、阪神が残り9試合を全勝(ヤクルトと直接対決1含む)、ヤクルトが阪神戦以外の8試合を全勝すると、両チームが77勝64敗2分けで並ぶ。この場合は今季当該間で勝ち越しを決めている阪神が上位となるため。



