スーパームーンに照らされた聖地で虎が息を吹き返した。藤浪晋太郎投手(21)が、巨人打線をねじ伏せ完封勝ち。完封だった5月20日以来のG戦勝利でハーラートップタイの14勝目を手にした。中村勝広GMが23日に急死してから初めての本拠地ゲーム。GM就任最初のドラフト1位が弔い星をささげ、チームは2位争いに踏みとどまった。
藤浪は最後の力を振り絞り、一塁ベースにダッシュした。9回2死二、三塁で大田を投ゴロに仕留め、一塁へ丁寧にトス。両リーグ最多となる今季4度目の完封劇を披露した直後、苦笑いを連発した。
「ウルトラ疲れました。ホッとしたというのが正直なところです」
23日に中村GMが急逝してから初めての甲子園戦。試合前には黙とうがささげられ、両軍ナインが喪章を着けた。GM就任後、最初のドラフトで1位指名した選手が藤浪。3年前の秋を思い返しながら、特別な感情をボールに込めた。「自分のくじが当たった瞬間、後ろのテーブルでガッツポーズしてくださった、それが印象的で…」。
8回2死一、二塁、マウンドまで駆けつけた和田監督から「しっかり勝負しにいけ!」とハッパをかけられた。「監督さんが来られることは、なかなかないので」。必勝を義務づけられた一戦。8安打2四球を許しながら、ハーラートップタイの14勝目を天国に送り届け、ホッと胸をなで下ろした。
「自分の入団を喜んでくださった方なので、そのためにもと思っていました。いいピッチングをして勝てたのが良かったです」
チームは連敗を2で止め、4位広島との1・5ゲーム差を守った。呉昇桓離脱の影響を吹き飛ばし、CS進出に大きく前進させたパワーはさすがだ。
次回はシーズン最終戦となる10月4日広島戦に向かう予定。シーズン200イニングまで残り6イニング。最多勝に加えて大台到達も視野に入ったが「それは意識せずに」と話す通り、あくまで個人記録は二の次というスタンスで臨む。「残り試合は少ないですけど、最後の最後まで戦い抜きたい」。言動、立ち振る舞い、投球内容。そのすべてがエースらしい。駆け足で大黒柱に成長した21歳の姿に、中村GMは夜空の向こうから目を細めたことだろう。【佐井陽介】



