大谷で始まり、大谷で終わった。「2015 SMBC日興証券 クライマックスシリーズ パ」(CS)ファーストステージ第3戦(札幌ドーム)で、日本ハムは10残塁の拙攻でロッテに1-2で敗戦。1勝2敗でファーストステージ敗退が決まった。10日の第1戦で3回途中5失点と炎上した大谷翔平投手(21)は、8回1死一、三塁の好機で代打出場し、空振り三振に倒れた。投打ともに悔しい結果に終わり、プロ3年目が終了した。
ワンバウンドのスライダーに、漆黒のバットは空を切った。本能で一塁へと駆けだした大谷は、塁が埋まっていることに気がつき、唇をきつく結んできびすを返した。1点を追う8回1死一、三塁。「代打の切り札」を包んだ大歓声は、結果的に、15年最後の盛り上がりになった。「今年は低めの変化球の見送りができていない。最終戦でもそれができなかった。悔しいです。個人タイトルより、最後勝ってるか勝ってないかの方が大事なので」。初の開幕投手を務め、投手3冠に輝いた3年目は、志半ばで終幕した。
2日前、ポストシーズンの流れを左右する「開幕」のマウンドは、3回途中5失点。大事な一戦でのプロ最短KO(調整登板除く)。屈辱が胸を支配したが、のみ込み、ぐっとこらえた。ベンチでは下を向かず、声を張り上げた。CSが始まる直前。栗山監督は選手を集め、1つ約束した。「ミスをしたり、悔しいこともあるかもしれない。でも切り替えて、態度に出さないで欲しい。チームが1つになって戦う中で、それが一番妨げになる」。ソフトバンクを最後まで苦しめた昨季CSの雰囲気。勝ち上がるために必要なのは、一丸となることだった。
初戦で悔しさを味わった大谷は、指揮官の言葉を守り、1人で背負って前を向いてきた。ファイナルSに進めば、中4日で第2戦の登板も予定されていた。だが自らのバットで取り返すこともできず、夢はついえた。「まだまだなんだなと思って、一から取り組んでいければいいのかなと思う」。敗戦をバネに、もっと大きく、強くなる。
栗山監督はリスクを覚悟して勝負手を打った。積極的に走者を動かし、有原を連投のマウンドに送った。だが無死満塁で無得点に終わった3回が象徴するように、全員の思いが、空回りした。10残塁。1点が遠かった。「この4年間で一番悔しい終わり方。足りないものがいっぱいある。監督がへぼい」。両目に、涙がたまった。
自然豊かな栗の樹ファーム。多くの花が咲き、木々が色づくすみかに、新たな植物を準備している。千成ひょうたん。豊臣秀吉がやりの先につけ、天下を取ったとされる。7月下旬、都内の公園で特大のひょうたんを見つけ、その遠征を3連勝した。「北海道でも育つらしい」。生態を調べ、“旗印”にしようと進めていた。しかし、天下取りへの道は、途絶えた。「選手にも言ったけど、この悔しさを忘れて欲しくない。もっともっと強いチームにならないといけない」。二人三脚を続けてきた大谷と指揮官の目は、大事なオフの、その先を向いている。【本間翼】
▼日本ハムがCSファーストステージで敗退。北海道に本拠地を移転した04年以降、CS(06年まではプレーオフ)進出は、今年を含め9回。ファースト(第1)ステージは過去5回出場しており、敗退は3位で出場の04年(西武に1勝2敗)、2位で出場の11年(西武に2敗)に続き3度目となった。



