「巨人軍はソフトバンクに追いつけ、そして追い越せ」-。巨人白石興二郎オーナー(69)が10月31日、王者奪回を厳命した。川崎市のジャイアンツ球場を訪れ、秋季練習をサプライズ視察。高橋由伸新監督(40)と談笑し、約2時間グラウンドで練習を見守った。常勝軍団への改革策として、2年連続で日本一に輝いたソフトバンクと同様に3軍を創設。若手育成に力を入れて、ソフトバンクを超えるチームづくりを目指す。

 グラウンドに、ピリッとした空気が漂った。練習の冒頭、円陣の中心に巨人白石オーナーが立った。「新体制になって、来季に向けて頑張ってもらいたい」と訓示を述べた。サプライズでの初視察だった。「時間があったので練習風景を見にきた」と、ブルペンにも足を運ぶなど約2時間精力的に動き回った。

 高橋監督との話題は投手陣、野手陣の課題や評価など具体的なものだった。監督就任後、秋季練習合流は4日目だが、自らの目でじっくりと観察した“由伸リポート”に、白石オーナーも期待感をふくらませた。「覚悟をもってやらなきゃいけないなと、そういう気持ちが伝わった。いろいろ話が聞けて、非常に良かった」と話した。

 2人が共感したのが、育成の強化だった。来季から3軍を創設することを決めた。2年連続日本一のソフトバンクは、いち早く3軍制を導入し、球界NO・1といわれる選手層の厚さを誇る。高橋監督は「我々もそういう形で、いろんな知恵と工夫をしながらやらなきゃいけない」。新システムでソフトバンクを超えるチーム作りに取り組む。

 3軍では育成選手を中心に、独立リーグや大学、社会人などと年間90試合程度を実施する。今秋の育成ドラフトでは8選手を指名。1、2軍の入れ替えだけでなく、2、3軍でも導入し、チーム内競争の活性化とレベルアップを図る。

 高橋監督にとっても、王者奪還は当然の使命。「そういう期待をされていることはわかっています。そこを目指して、(ソフトバンクに)勝つことが目標」と力を込めた。白石オーナーは「チーム作りや練習の仕方を含め、監督なりに考え、それを実行していくんだろうなという印象を受けました」と初視察に充実感をにじませた。【久保賢吾】

 ◆3軍メモ ソフトバンクは11年に発足。毎年20人前後の育成選手を確保し、独立リーグや社会人チームなどと対戦。年間で70~80試合を組んで、強化に励んでいる。遠征先の移動は基本的にバスを使う。韓国遠征も行っており、同国の2軍と10試合程度、戦っている。来春から福岡県筑後市の新施設に2軍とともに移転。2つの球場を有する広大な施設で、さらに若手育成に力を入れる。今季、日本一に貢献した柳田や千賀も過去には3軍で試合経験を積んでいる。また広島も11年に3軍が発足したが、こちらは主に故障者の調整の場となっている。