日本一連覇を飾ったソフトバンクの祝賀パレードが22日、福岡市内の明治通りで行われ、約35万人のファンと喜びを分かち合った。孫正義オーナー(58)は海外FA権を行使した選手会長の松田宣浩内野手(32)と先頭のオープンカーに同乗。車中で残留を直接要請し、熱い握手を交わした。多忙を極める球団トップが異例の「直接出馬」で、沿道のファンと同じ思いを届けた。

 晴れ渡る福岡の街が日本一連覇の祝賀ムードに包まれた。約2・5キロの歓喜の行進。先頭を走るオープンカーが、即席の交渉場所と化していた。

 工藤監督、選手会長松田ともに車に乗った孫オーナーが、海外FAを宣言した松田に直接残留を要請。熱い思いを伝え、固い握手を交わした。東京から日帰りで駆けつけた孫オーナーは、数少ないチャンスを逃さなかった。

 「ファンの皆さんからも『マッチ残って』という声があちこちから出てましたから。(自分が話したのは)もちろんです。しっかりと握手してきましたので通じたと信じております。ファンと我々の願いは1つだから。よろしくお願いします」

 球団はすでに松田に対し、4年16億円のオファーを提示した模様。松田は宣言後も「プレミア12」に集中し、決断を保留。前日21日の3位決定戦を終え「福岡に帰るので、そこからゆっくり考えます」と話していた。そんな絶好のタイミングで起こった、オーナーの直接要請だった。

 この日、松田は去就については触れなかった。それでも「ファンと日本一の喜びを分かち合えて、実感が湧いてきた。2年連続日本一になり、2年連続で先頭でオープンカーに座らせてもらってよかった。幸せでした」と笑顔。「1年間やってきてよかった。ファンの声援で報われた」と喜びを語った。

 国内の他球団と交渉する考えはなく、今後は代理人を通じ、オファーの届いたメジャー球団の話を聞くことになる。孫オーナー、松田と同じオープンカーに乗った工藤監督は99年にはFA宣言したエースとして「残って!」の大合唱を浴びた経験がある。松田のFA宣言にも「選手が得た権利なので、まずは本人の意思が大事。米国ということを考えれば、時間のかかること」と理解を示した。一方で「迷っているなら残れよと言う。僕が出て行く時が来れば出て行くが、それまでは静かにしているよ」と話し、オーナーに続いて「出馬」する準備があることを明かした。

 沿道には昨年のパレードと同じ約35万人のファンが詰めかけた。孫オーナー、そしてファンの思いは伝わるのか。松田が下す決断に注目が集まる。

 ◆松田のFA経過 日本一連覇を飾った10月29日、海外FA権を行使する可能性があることが判明。翌30日に「ぎりぎりまでじっくり考えたい」と申請期限まで熟考する姿勢を打ち出した。パドレスなど米大リーグ球団が獲得調査に本腰を入れる中で、「プレミア12」に参加していた11月9日に権利行使を表明。署名付きの書面を公開し、国内他球団とは交渉せず、メジャー移籍か残留かの選択肢に絞ったことを明らかにしていた。