巨人が「熱血! 川相塾」開講だ。10月に設立した3軍で指揮を執る川相昌弘監督(51)が、冬季練習(11月27日~12月15日)で育成選手との個人面談を実施した。オフの練習メニューなどを記した予定表を提出させ、課題と強化ポイントなどを話し合った。自身も無名の高卒選手から1億円プレーヤーに上り詰めた、たたき上げ。河合塾ばりの冬季集中講座で、強固な組織形成を図る。

 キーン コーン カーン コーン♪ ジャイアンツ球場の室内練習場に、チャイム…ではなく、打球音が鳴り響いた。“自習”をしていたのは、支配下登録を目指す育成1年目の捕手、田中貴也(23)だ。マシン相手に約30分打ち込むと、バットをキャッチャーミットに代えて捕球練習を始めた。「川相監督には『全体練習が終わってからどうするかが大事』と言われました。僕に休んでいる時間はないんです」と、次の科目「筋力トレ」のため、急いでクラブハウスに入っていった。

 意識の高さは、「川相塾」特別講義の成果だった。冬季練習中に球団から「オフの予定を記して面談で提出するように」と、空白のカレンダーが育成選手に配布された。それを基に、各選手が川相監督、穴吹トレーニングコーチと約15分の3者面談。練習メニューを細かくチェックし、足りない練習は追加する。5月まで右肩を痛めていた田中貴は「上半身のウエート」を重点科目に設定された。川相監督は「1人でいかに練習できるかが大事。群れるなと。他の人と同じじゃ、差はつまらないぞ」と、生ぬるい“解答”は再提出させた。

 “川相塾長”には巨人のレギュラー争いを勝ち抜いた「成功体験」がある。高卒1年目の年俸264万円から98年には1億4600万円(推定)までになった。「人が練習しない時がチャンス」。時間があればランニング、素振りを重ねた。新設された3軍選手に、当時の自分を重ねた。「境遇が似ているなと。何とかはい上がってほしい」。

 熱い思いは、球団の狙いにもマッチする。モデルはソフトバンクで、3軍経験者の柳田や千賀が重要な戦力となり2年連続日本一を成し遂げた選手層の厚さを目指している。中長期的な視点で、強固な組織をつくり上げるつもりだ。

 この日、メジャー122発を誇るジョーンズの加入が決まった。堤GMは「支配下が65選手になった。あと5枠。育成が、どれだけ頑張れるか」と、3軍からの支配下昇格を期待した。他球団からの獲得だけが補強じゃない。強い巨人再建に、3軍からサクラ咲くとなるか。【浜本卓也】

 ◆田中貴也(たなか・たかや)1992年(平4)8月27日生まれ。京都府出身。高校時代は八重山商工(沖縄)に野球留学。山梨学院大から14年育成ドラフト3位で巨人入団。178センチ、80キロ。右投げ左打ち。捕手。推定年俸250万円。背番号005。

 ◆巨人3軍 10月22日に設立を発表。育成選手が中心で、20人から25人規模で編成する。川相監督や田代ファーム巡回コーチといった経験豊富な指導者が中心となり、若手を鍛え、実戦経験を積ませて育成を図る。国内の独立リーグや大学、社会人を相手に、年間で約90試合を予定する。ペレスやアブレイユの外国人勢に、速球が自慢の田中太ら、将来性のある原石も存在する。