ダイナマイトなハニーでいいんじゃない! 8安打8得点の攻撃で中日に3連勝、初代ミスタータイガース藤村富美男の生誕100周年を白星で飾った。未来のミスタータイガースへ、ドラフト1位高山俊外野手(23)が4号3ランを含む3安打でルーキー100安打突破。江越も先制2ランと金本監督の早出特打指導が連日さく裂し、3位DeNAに3ゲーム差だ。
天国の「ミスタータイガース」もほほ笑む、一振りだった。5回1死一、二塁。山井の外角高めシュートに、高山はためにためた力を解放した。フェンスがなければどこまでも伸びていきそうな打球…あっという間に左翼スタンドに届く。会心の4号3ランにお立ち台でも声が張った。
「いったかなと思いました。ここ最近スタメンを外れることが多かったので、なんとか結果を出したいという気持ちでした」
初代「ミスタータイガース」藤村富美男氏の生誕100周年を記念した「永久欠番デー」。記念すべき日に、規格外のルーキーがまた歴史をつくった。
4回に右翼線に二塁打を放ち、球団では01年赤星以来15年ぶり6人目の新人シーズン100安打を達成。その後もHランプをともし続け、98年坪井の球団記録まで残り1に迫る10度目の猛打賞をマークした。
「アウトコースをレフトポールに当てる意識で振ってみろ」
早出特打で江越、中谷、北條とともに素振りを行っていた高山は、金本監督からこう助言を送られていた。身ぶり手ぶりを交えた指導に何度もうなずき、再びスイング。だが「これじゃセンター前だな」。皮肉まじりのダメ出しから、約6時間後。実戦で放った逆方向への一撃に、金本監督も「ちょうど逆方向に打てる練習を始めようかという矢先。いいホームラン、センスを感じる」とあらためて驚かされた形だ。
「ヒットについて本当によく言われるんですが、僕自身はヒットの数に特別こだわりはないんですよ」。どんな状況下でも「いつもの1打席」として臨める強さが、高山を支えている。
「100本というのも1本目から1本ずつ積み重ねないととれない数字だと思うので。また1本1本という気持ちでやりたいなと思います」
金本チルドレンの乱舞で、3位DeNAとは3ゲーム差に迫った。CSをかけた勝負はここからが佳境。その先陣を、ミスタータイガースの系譜を受け継ぐ高山が切っていく。【梶本長之】
◆藤村富美男(ふじむら・ふみお)1916年(大5)8月14日生まれ、広島県呉市出身。旧制呉港中で甲子園大会優勝。36年に阪神入団。新人年は投打で活躍し、打撃成績は38試合、89打数29安打18打点2本塁打。投手成績は19試合で9勝4敗。肩を痛め野手に専念してからは、強打の三塁手として「ダイナマイト打線」の中軸を担った。「物干し竿」と呼ばれた長いバットでも人気を集め、首位打者1回、本塁打王3回、打点王5回。55年12月に助監督から監督に昇格。58年シーズンを最後に引退。74年に野球殿堂入り。92年5月28日死去。



