秘密兵器がベールを脱いだ。広島の新外国人スティーブ・デラバー投手(33)がDeNA戦で来日初登板。中継ぎのスペシャリストらしく落ち着いてマウンドに上がり、淡々と3人斬り。最速は152キロをマークするなど鮮烈なデビューを飾った。激しい外国人枠争いは緒方孝市監督(47)にとってもうれしい悩みだ。

 迫力とオーラを醸し出していた。デラバーは初登板にも落ち着いていた。「ブルペンでもしっかり準備出来た。緊張もなかったよ」。そり上げた頭に帽子を目深にかぶる。プレートの土を2回足で払い、一塁側に右足を乗せた。セットから次々にゾーンに投げ込んでいく。3者凡退。仕事を終え、ゆっくりとベンチに戻る姿は、狩りを終えたハンターのようだった。

 わずか10球の来日初登板に、存在感をちりばめた。先頭の宮崎には追い込んでから136キロのスライダーで見逃し三振。倉本は直球で差し込んで三ゴロに仕留めた。そして梶谷には追い込んでから内角へ151キロ。腰を引いた梶谷の姿から、その直球が球団幹部を獲得に動かしたナチュラルに動く「えぐい球」そのものだったことが分かる。

 メジャーで登板した190試合は、すべてがリリーフ登板。中継ぎのスペシャリストだ。メジャーの球宴にも選出されたことのある男は、それでも「球速が出たことはうれしいが、こだわりはない。142キロでも抑えられればいいんだ」とどこまでもクールだった。ウエスタン・リーグでは「土のマウンドに苦しんだ」と17試合で0勝1敗、防御率5・82だったが、舞台が整えばお手の物だった。

 超新星の出現で、外国人枠争いの激しさがより一層増す。畝投手コーチは「戦力に厚みを持たせる意味もある。もちろん(枠に入る)可能性はある」。8回にはリフレッシュ中のジャクソンがいるが、いずれにしても、ポストシーズンに向けて選択肢が増えることは悪いことではない。緒方監督も激しい争いに期待かと問われ「もちろん、もちろん」とうなずいた。8月3日からの4連敗以来の連敗も、収穫は多い。「任された職務を全うするよ」。デラバーも、うなずいた。【池本泰尚】

 ◆スティーブ・デラバー 1983年7月17日、米ケンタッキー州生まれ。03年にパドレス入り。09年からは独立リーグ。11年にマリナーズと契約し、同年メジャー初昇格。12年途中にブルージェイズへ移籍。13年には球宴出場を果たし、15年は東地区地区優勝を経験。今季はレッズ3A。6月末に広島入り。メジャー通算190試合登板で15勝9敗2セーブ、防御率4・07。195センチ、99キロ。右投げ右打ち。