こちらは苦手を克服した。西武十亀剣投手(29)が、通算1勝7敗だったソフトバンク戦で昨年4月以来の白星を挙げた。6回93球で6安打2失点。前日はソフトバンクを苦手とする菊池が3回途中でKOされ、チームも10失点という嫌な流れを止め、自身4連勝を飾った。

 序盤の左打者への内角攻めが、後の回に効いた。1回は4打席連続本塁打の懸かる3番柳田を内角スライダーで空振り三振。2回は内角シュートが甘く入って3安打を浴びたが、6回は無死一、三塁から上林を併殺に仕留めた。「ストライクを取りにいった球は打たれたが、上林のは計算通りゲッツーが取れた」。捕手の岡田も「左打者に内に来るんじゃないかと植え付けられた。内角にいかないと外も見送られる。初回にいけたことが勝ちだと思う」と勝因に挙げた。

 菊池と同様、タカ打線が苦手だっただけに「雄星があんなにやられて驚いた」。前夜からスコアラー、コーチ、捕手とじっくり対策を練った。結論は「丁寧かつ大胆に攻めてカウントを取る」。かわすのではなく、甘く入っても勝負にいった。試合前まで対戦打率7割3分9厘だった松田も2打数無安打。強気の攻めが生きた。菊池に「助言するか?」と問われると「そんな…。僕がアドバイスすることはないです」と柱の後輩左腕を立てた。

 開幕1軍は逃したが、5月から自身4連勝と好調だ。「順位が1つ上の相手に勝てて良かった。自分で貯金できているのはいい。遅れた分を取り戻さないと」。表情に自信がみなぎっていた。【斎藤直樹】