阪神ドロ沼の連敗を8で止めたのは糸井でも福留でもない、ドラフト1位の大山悠輔内野手(22)だった。「5番一塁」でプロ初のクリーンアップに座り、迎えた3回の第2打席。重苦しい雰囲気を一変させた。
2死二、三塁からヤクルト原樹の投じた外角145キロの直球をフルスイング。「来たボールだけを思い切って、振り抜こうと思って打席に入った」。打球はぐんぐん伸び、左翼席へ着弾。金本監督も声を上げ、右手でベンチの柵をバシッとたたいた。「(テレビに)映ってました? 恥ずかしいですね(笑い)。レフトの頭は越えたと思ったが、あとは何とか入ってくれと。いきなり3点ですから。興奮した」。
大山は交流戦ラストの6月18日楽天戦で1軍に初昇格。この日が先発2試合目で、前日まで通算7打席しか立っていなかった。そんなルーキーの、待望のプロ初安打がホームラン。それも先制3ランだ。あまりのビックリ弾に球場全体が大騒ぎになった。喜びを爆発させダイヤモンドを一周した大山は「今までの人生で一番幸せな時間でした」。8連敗中のチームを救う一振りになった。
男の約束を頼りに、体を鍛え続けた。「(体重を)4、5キロ上げたら、球宴前に1軍に呼ぶかもね」。3月中旬に金本監督は見通しを語っていた。オープン戦で打率3割3分3厘と結果を残すも2軍に降格した。体力強化が目的だった。指揮官の言葉を励みに2軍でパワーアップに奮闘。この日、結果になって実を結んだ。
一躍ヒーローになった大山は、記念球を「今まで支えてもらった家族に、プレゼントしたいなと思います」。そう語る背中は、入団時より分厚くたくましくなっていた。【真柴健】
◆大山悠輔(おおやま・ゆうすけ)1994年(平6)12月19日、茨城県生まれ。つくば秀英-白鴎大。16年ドラフト1位で阪神入団。6月18日に1軍初昇格。遠投110メートル、背筋力205キロ。50メートル走6秒2。181センチ、85キロ。右投げ右打ち。



