大山の先制3ランによるリードを、阪神能見篤史投手(38)が守って虎の連敗脱出につなげた。糸井の失策による2回無死二塁のピンチを無失点でしのぐなど、6回を3安打投球。4回にヤクルト山田のソロ本塁打を浴びたものの、その1失点のみで切り抜け、5月31日以来約1カ月ぶりの3勝目を挙げた。

 真夏のように暑くなった甲子園でも、能見は涼しげだった。「今日もいつも通り、自分の役目を果たすことを考えマウンドに上がりました」。泥沼のチーム8連敗で迎えた一戦。プレッシャーで押しつぶされるようなマウンドでも、変わらない。連敗地獄を食い止めたのは、冷静沈着なベテラン左腕だった。

 「序盤はファウルで粘られ、球数が増えてしまいましたが、先制点が入るまで粘りの投球もできましたし、6イニングでしたが四球もなく、自分のリズムで投げることができました」

 難局を乗り切った。2回だ。先頭グリーンの飛球が浜風に流されて右翼糸井が落球。無死二塁のピンチを迎えた。だが、続く大引を8球目で遊ゴロ。1死一塁とすると藤井に11球粘られるも、最後は低めの外角スライダーで二直併殺に仕留めた。粘られてもいら立つ様子は一切なし。淡々と冷静に、1球ずつ。まるで棋士のように打者を追い詰め、勝利をたぐり寄せた。

 4回に先頭山田のソロ本塁打を浴びたが、これが大けがにつながることはなかった。スイスイと6回を投げ切って3安打1失点。金本監督も「連敗中なので、気持ちはいつもとは違うと思う。でも何事もなかったように、すんなりと6回を1失点でね。さすがキャリアのある投手だな。ナイスピッチングでした」と最敬礼だ。

 今季は開幕から白星に恵まれず5戦連続勝ち星なし。ようやく1勝目を手にしたのは5月7日広島戦だった。プロ13年目でも珍しいという、シーズン途中にグラブを変更するなど「流れ」を変えたが、本来の投球を続ければ勝ち星は自然とついてくる。「勝って良かった」。頼れる左腕がチームを救った。【桝井聡】