巨人阿部慎之助内野手(38)の18年シーズンの新打法が決まった。その名はずばり「アンブレラ打法」だ。打撃動作前のグリップの位置は、傘を持つ位置と同じイメージで胸の前まで下げて安定感を重視。21日、グアム自主トレで新打法を固める作業に入った。現地では今日22日に最後のトレーニングを行い翌23日に帰国する。

 阿部が快晴のグアムで傘をさした!? 連日の打撃練習で徐々に力感も出てきた。「今は確認作業。もう試す時期ではないけど、新しいことがうまくいくかどうかをチェックしていく時期だという意識でやっている。(新しいフォームは)悪くないと思うよ」と新打法の仕上がりに上々の手応えを示した。ロングティーで打球の軌道を確かめると、正面からのティー打撃では、中堅から逆方向中心に鋭い打球を飛ばした。

 このオフに試行錯誤したのは、打撃動作前のグリップの位置だった。例年はスコールに見舞われることが多いグアムだが、今年は天候に恵まれ予定通りにトレーニングが進んでいる。傘をさす必要がない中で、ふとひらめいた。「傘を持つ位置がヒントになった。上げすぎても下げすぎてもダメ。安定する位置で傘を持つでしょ。それと同じ」。胸から腹部にかけて迷うように上下していたグリップの「定位置」が思わぬ発想から決まった。

 昨季まではグリップを耳の高さでキープしていた、間を作るイメージを強く持つために1度、下げてから上げる新打法に改善。「始まるところが安定すればスイングも安定してくる」と、無意識な動作に活路を見いだし新打法が完成へと一気に近づいた。

 安定感はシーズンを通した打撃にも影響する。昨季は3年ぶりに規定打席に到達するも「後半に調子を落とした。永遠の課題だけど、シーズン通して結果を出せるようにならないと。当然、去年の成績だと物足りない」と反省だけに終始した。さらに今季は本塁打よりも安打数、打率を上げることに強いこだわりを持つ。「グリップの位置もそうだけど『自然』ということが大事。好調とか不調じゃなくて『自然に』が一番いい」。雨降って地固まる、のように「アンブレラ打法」で打撃を固めていく。【為田聡史】