勝利の1発を高々とぶち上げた。巨人岡本和真内野手(21)が2戦連発の逆転2号3ランを放ち、阪神との開幕カードを2勝1敗で勝ち越した。2点を追う4回1死二、三塁で阪神秋山から滞空時間約7秒、これぞ本塁打という打球で試合を決めた。球団で22歳以下の選手が開幕カードで2試合連発するのは10年の坂本勇以来。4年目の和製大砲が覚醒の時を迎えた。

 左翼手に見上げさせた。2点を追う4回1死二、三塁。岡本は初球をしばき上げた。阪神秋山の140キロ直球のつり球。「外野フライでも1点。高めを思い切り振ろう」と反応した。

 舞い上がった打球は1秒、2秒、3秒…と落ちてこない。阪神福留が左翼フェンス前で捕球体勢に入る。4秒、5秒、6秒…。いきなり福留の目線がスタンドへ変わる。6秒95。白球は予定地を越えるように左翼席へ。「良い結果になって良かった」とガッツポーズを決め、本塁へ駆けた。

 “自己最長”の空の旅だった。昨年12月の西武中村との合同自主トレ。ロングティーで如実に差が出た。打球の滞空時間は岡本の平均3・5秒に対し、中村は5・8秒。スピンをかけ、遠くに飛ばす意識を学んだ。3秒増しの滞空時間が生んだ逆転弾。「去年と比べて飛んでいるかな」と実感した。高橋監督も「長距離バッターらしい、いいホームラン」と目を細めた。

 開幕から出ばやしを変えた。オープン戦は大好きな韓国の女性アイドルグループTWICEの曲をメインに据えたが「大音量で聞くと感じが違う」と同系の2NE1の「I AM THE BEST」を追加。和訳で“私が最高”。「ノリがいいんで」と笑うが、決意表明代わりの1曲だ。

 だから過去にはこだわらない。前日は今季1号3ラン。この日の試合前に「2戦連発!」と声をかけられても「もう忘れたんで」とリセットした。「1打席、1打席が勝負」と真っさらな気持ちを心に刻む。

 開幕スタメンを告げられたのは3月26日の練習日。「気が引き締まった」と阿部との正一塁手争いに勝ったという喜びとともに重圧も感じた。それでも「余計なことを考えず、自分のやるべきことをやる」と自らの打棒を信じると決めた。

 2戦連発で開幕カードは勝ち越し。2日連続のお立ち台では、「ジョニー・デップです」という岡本のジョークを引きだそうと、自己紹介をせがまれたが「今年は気を引き締めているんで」と控えた。見据えるのは長丁場の先にある優勝。「いっぱい打ちます」と本塁打量産も宣言し、幸先の良いスタートから最高の1発を積み重ねる。【島根純】