トゥースパワーで西武が首位を死守した。1点を追う8回無死一塁。秋山翔吾外野手(30)は腹をくくって2球目を振り抜いた。自身10打席ぶりの出塁となる一打が右中間を破る同点三塁打。「昨日も打ててなくて、今日も3打席ダメ。ゲッツーになっても後悔しないくらいの気持ちで思い切っていきました。春日さんとの握手でパワーをもらって打てました」と、逆転劇につながった1本を喜んだ。

 感謝したのは観戦試合で連勝中のオードリー春日だった。西武ファンで試合前にはイベントに登場。「私が見た試合は、ここ5、6年負けてない」と言う。その逸話を知る秋山は7回イニング間のイベント後の春日をベンチ裏で出待ち。「力を下さい、とお願いして。御利益がありました」と頭を下げた。

 もちろん、あやかっただけではない。リーグ記録の536試合連続フルイニング出場を達成した前夜は無安打。試合後は室内練習場で振り込んだ。「僕や源田が出て、つないでいく攻撃が大事。その先頭になれていない」と反省した。

 不振を何とか打破するために「いつもはゲッツーを打たないように考えるけど、それをやる技術面、精神面の余裕がなかった。余計なことを考えなかったことがよかったかもしれない」。あえて普段とは逆の発想が、チーム17イニングぶりの適時打となった。

 負ければ首位陥落の危機を阻止。「勝つことで前に進んでいきたい。個人的には最後まで上でいくのがベストだと思っている」。1位を明け渡さずにリーグ優勝を決める。不動の1番が責任と覚悟を持って、打線を引っ張る。【佐竹実】