巨人阿部慎之助内野手(39)が来季から4年ぶりに捕手に復帰することが4日、分かった。16年以降は捕手での出場がなく一塁手を務めてきたが、かつての名捕手が原点回帰。原監督が推奨する「少年時代のような気持ち」を思い起こす意味でも、自身の代名詞ともいえる「扇の要」への復帰を決断した。勝負強さと存在感が光る打撃は健在。プロ19年目はキャッチャー阿部として5年ぶりのリーグ優勝に挑む。

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阿部が原点に戻る。この日までに原監督とも話し合いを行い、来季から捕手に復帰することが決まった。近年は一塁手としてプレーしてきたが「やっぱり自分は捕手かなと思う。あのポジションには特別な愛着もある」と口にすることもあった。直訴を同監督に快諾してもらい、「捕手」として再び勝負の舞台に立つ。

捕手か打撃か。近年のテーマだった。13年、長年にわたってファウルチップを受け続けたことで首痛を発症した。肩にまで影響し、14年オフに一塁手に転向した。だが15年の開幕直後、故障者続出のチーム事情で捕手に復帰。16年は捕手登録に戻ったが事実上、一塁手で出場を重ねた。4度のゴールデングラブ賞、9度のベストナインはいずれも捕手で受賞した。打撃では昨季、通算2000安打に到達した。代打としての出番が多かった今季も11本塁打をマークし、プロ入りから18年連続2ケタ本塁打の球団記録を樹立。王、長嶋以来となる通算400号にも王手をかけた。

40歳を迎える来季は体調面の不安も懸念される。当然、正捕手としてマスクをかぶり続けることは困難だが、ここまでの経験を後輩捕手や投手陣に伝えることはチームの底上げに直結する。自身が捕手を離れた後は小林が後継として主戦を務めたが、チームは4年連続でV逸。大城、宇佐見に加え、今オフのFA市場で調査に乗り出している西武炭谷も含め、セ・リーグ打者の特徴などを伝授することも可能となる。

第3次原ジャイアンツが提唱している「少年野球のような気持ちで、のびのびと」のスローガンは、阿部の捕手復帰にも体現されている。ファーストミットの側に大事に温めておいたキャッチャーミットの出番がやってくる。