阪神藤川球児投手(38)が22日のオープン戦・オリックス戦前の練習後、21日に引退を表明したマリナーズ・イチロー外野手(45)への思いを語った。21日の試合後の引退会見は「自宅で正座して見てました」と、威儀を正して聞き入った。

藤川自身が野球少年だったとき、愛用したのはイチローモデルの外野手用グラブ。長いときを経て、06、09年WBCでは同じ日本代表のユニホームに袖を通した。「憧れなんで。憧れだからこそ届かない存在で、本当に誰も届かない存在なんですよね。雲の上というのは本当にこのことだな。王さん、長嶋さんのところに入ってくる、その1人でね、チームでなく、日本人の代表として本当に日本人を知らしめてくれた」と、存在の大きさをかみしめる。

不滅の記録を残した野球人としてのすごみとともに、言葉の力にも感じ入った。「イチローさんの言葉の中から自分の中に落として、自分だったらこういう考え方になるのかな、というところを見たときに、人によってその言葉の1つが、受け取り方がみんな十人十色違うような言葉を残せるっていうのは人間力の深さだと思うんですよね。プレーヤーというより本当に、教科書に載るような、それですまない」。藤川にとって、人間力も超一流と思える存在だった。

「本当に苦しんだ人間しか、戦い続けた人間しか草野球でも本気でやろうというふうに思えないと思うので。すごく遠い存在ですけど、同じような感覚を持たせていただいたので、また自分の力に変えて頑張れると思ったので」と、イチローの思い、イチローの言葉に勇気づけられてきた。仰ぎ見る太陽のような存在。それがイチローだった。