頼もしい男が、球団通算900勝を導いた。島内宏明外野手(29)が3回に自身4番初弾となる1号2ランを放った。

プロ野球11人目という珍記録の全打順アーチ達成に「マジですか? 8番で打ってましたか? おめでとうございます」。喜びのコメントにも、独特の感性がにじむ。16日の西武戦で右頸部(けいぶ)に死球を受け、2試合を欠場。復帰戦で厳しい内角球を仕留め「打つ分には、恐怖心はない」と言った。

オールマイティーな役割を任されてきたからこその記録だ。打率リーグ3位の確実性。選球眼と粘り強さで出塁率はリーグトップタイの4割4分4厘。長打力も秘める。「風邪で2、3カ月練習を休んだりもした」と“サボり癖”を告白する明大時代も、ロングティーでは誰よりも飛ばしてみせた。平石監督も「打球スピードは球界でもかなり上にくる。20本くらい打つ力はある」と太鼓判を押す。

前日に足立が576日ぶりのプロ通算3号。「足立が打って4番がゼロじゃ、ちょっと嫌なので」。4番について「今でも嫌です。早くブラッシュ上がってこいって思ってますから」と笑うが、「つなぎの4番」は単独首位のチームに欠かせない。【亀山泰宏】

▼島内が4番で初めて本塁打を放ち、15年9月22日浅村(西武)以来プロ野球11人目の全打順本塁打を達成した。島内は9番で出場した12年8月24日日本ハム戦でプロ1号を放ち、17年5月6日西武戦で初めて3番で打って記録へ王手をかけていた。打順別最多は3番の12本で、島内の通算45本目は02年4月21日五十嵐(近鉄)の26本に次いで2番目に少ない本数での達成となった。