楽天の若き力が、今季3勝を献上していたオリックス山岡に初黒星をつけた。1点を勝ち越された直後の5回無死一塁から、ドラフト1位の辰己涼介外野手が右中間を割る適時三塁打。

セーフティーバントの構えで2球揺さぶった後のファーストストライクを「1発で捉えられた」とうなずいた。4月5日の対戦では3打数無安打。初めてエース級と相対し「一流の投手を、身をもって感じることができた。1つ(打つべき相手の)目標ができた」と話していた。プロで戦う指標としてきた右腕。10日の再戦での初ヒットに続き成長を示した。

続く無死三塁からは、プロ初スタメンのドラフト7位ルーキー小郷裕哉外野手が山岡の変化球に食らいついた。低めをしっかり見極めて四球を選んだ7球目が暴投となり、辰己が頭から滑り込んで勝ち越した。初先発を告げられると、辰己が山岡の特徴や薄暮の守備の注意点などを即座に助言してくれた。「2人を並べた監督の意図もあると思ったし、2人で点を取れるくらい思い切ってやろう、と。今日は辰己が1人でやっちゃいましたけど」と笑った。「これ以上打てへんかったら、小郷に外野を取られる」と危機感をにじませていた辰己も「しっかり低めを見極めていて小郷すごいな、と。暴投の場面は、2人で本当にいい点の取り方ができたと思います」と喜んだ。

今季3試合目の先発マスクで美馬を懸命にリードし、先制につながるバントを決めた9番堀内も、1学年下ながら2人と同じ22歳。浅村やブラッシュら2~6番の中軸が無安打でも、少ないチャンスをものにして難敵から白星をもぎ取った。【亀山泰宏】