「神様超え」はできなかったが、中日高橋周平内野手がV打を含むマルチ安打で連敗ストップに貢献した。

あと1安打だった。9回1死一塁。カウント2-2から高橋のバットは空を切った。思わず天を仰いだ。5月最後戦で、猛打賞の月間最多記録に挑んだが、惜しくも達成できなかった。「(4打席目から)意識してましたよ。もう2度とないと思う。でもチームが勝ったので良かった。明日からまたがんばります」。記録にリーチをかけてから2打席凡退を、高橋はさばさばと振り返った。

4月までは打率2割5分と苦しんだ。5月初旬に立石野手巡回コーチに打撃指導を仰いだ。打撃始動時のグリップの位置を修正。同コーチは「いろんな球に手を出して、凡打になっていた。ボール球を見極め、好不調の波が少なくなった」と説明。5月6日広島戦の猛打賞で覚醒した。同26日のヤクルト戦までに8度の猛打賞を積み重ねた。打撃の神様・川上哲治氏や初代ミスタードラゴンズ西沢道夫氏、イチローらの日本記録に並んだ。5月最終戦で、新記録達成は幻に終わったが、打線の核になった。

「記録はまた挑めばいい。こういう経験をできたことは良かったんじゃないか」と与田監督も高橋の成長を称賛。月間打率4割1分7厘で、自身初の月間MVPも視野に入れた。主将のバットが6月竜反攻の起爆剤になる。【伊東大介】