安打製造機の帰還を白星で飾れなかった。自律神経失調症でリハビリを続けていたソフトバンク中村晃外野手(29)が今季初昇格で即スタメン。しかも初打席でいきなりタイムリーを放つ活躍を見せた。楽天との初戦を落とし、同率で首位に並ばれたが、チームの明るい材料になった。

「おかえりー」。大きな拍手と歓声が中村晃を包んだ。1点を先行されて迎えた2回無死二塁で右翼線への鋭いライナー。一時同点の適時打に、二塁ベース上で笑顔のガッツポーズだ。仲間も、ファンも、誰もが手をたたいて喜んだ。中村晃も「今日の試合は開幕戦のつもりで入っていきました。大きな声援が後押ししてくれました」と喜びをかみしめた。

3月下旬に症状を明かしてから、約1カ月実戦を離れた。4月末に3軍で実戦復帰。ようやくたどり着いた1軍の舞台。試合前には円陣の中心で声を出した。「野球ができる喜び、すばらしさをあらためて感じました!」。7回に四球を選び、代走を送られてベンチに下がってからも、仲間のプレーを笑顔で楽しそうに見守った。「あまり久々な感じはしなかったですね。少し緊張したけど、いつも通りに入れた。最初にしては良かった。続けていきたい」。中村晃らしく淡々と振り返った。工藤監督も「すばらしいタイムリーだった。練習から笑顔もあって、明るくやっていて良かった」とうなずいた。

チームは5月を12勝13敗で終え、昨年7月以来の月間負け越しとなった。交流戦まで残り2試合。苦しい戦いの中で、頼れる男が帰ってきた。【山本大地】