虎がCS争い参戦へ、勢いに乗ってきた。チーム4連勝を呼び込んだのは、先発高橋遥人投手(23)だ。ヤクルト強力打線を相手に6回8安打2失点。前日に30号を放ったばかりのヤクルト村上から3三振を奪う気迫の投球で、7月7日以来の自身3勝目。打線の援護に恵まれなかった左腕の勝利で、2位DeNAと3・5ゲーム差、3位広島とは3ゲーム差だ。

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高橋遥が張り裂けそうなミット音を神宮に響かせた。6回2失点(自責1)。毎回の9奪三振でヤクルト打線を抑え込んだ。「ピンチの時は三振、追い込んでからも三振を狙いにいって取れた。梅野さんに感謝です」。リードに感謝したが、堂々の102球だった。

若きゴジラを斬った。30本塁打の19歳ヤクルト村上から3打席連続空振り三振。「村上君は真っすぐに強いイメージがあった。1、2打席目は変化球で。最後は真っすぐで(三振が)取れてよかった」。圧巻だったのは、直球で空振りを奪った5回だ。味方の失策も絡むなど2点差に追い上げられ、なおも1死二、三塁で5番雄平を変化球で空振り三振に。迎えた6番村上を、完全なボールゾーンの高め直球で連続三振に仕留めた。走者は背負ったが、流れは渡さなかった。

これで自身最多の3勝目。先発登板14試合でQS(クオリティースタート・6回以上3失点以内)は9度目で、防御率は2・86。好投しても勝ち星に恵まれない日々が続いたが「試合を作るのが自分の役割」と言い聞かせた。「最近勝てていなかった。チームの勝ちにも貢献できていなかった。去年2勝だったので、去年を超えられてすごいうれしいです」。7月7日広島戦以来の白星。フラッシュライトを浴びて笑った。

プロの世界。負けて学ぶことはあっても、負けて楽しいことは1つもない。ただ、あの夏の熱い戦いが懐かしい記憶を思い出させる。高校3年の夏、甲子園出場はならなかった。「もちろん勝つつもりだったんで…」。敗戦の翌日は予定がなく同学年全員で海へ。「静岡の海はきれいで、楽しかったので上手に(気持ちが)切り替えられました」。甲子園を目指した仲間との思い出も胸に、プロの世界で躍動している。

矢野監督は「調子はあまり良くなかったけど、勝負ところで我慢というか、攻めた投球ができてこうなった」と23歳左腕を褒めた。今季3度目の4連勝をチームは飾ったが、全て先発投手に勝ち星がついてのもの。残り26試合。逆転CS出場を狙って、波に乗っていくだけだ。【真柴健】

▽阪神福原投手コーチ(高橋遥について)「(ずっと勝利が付かず)しんどかったと思いますよ。あまり言わないですけど。(先発に勝ちが付き)それが一番。いいリズムになる」