阪神藤川球児投手(39)が、巨人21回戦(甲子園)で今季10セーブ目を挙げ、現役単独最多のNPB通算235セーブ目をマークした。2点リードの9回に登板。1死から四球で走者を許したが、安定感は変わらず、チーム30日ぶりの甲子園勝利を締めくくった。3位広島との3ゲーム差は変わらなかったが、逆転クライマックスシリーズ進出へ、頼れる守護神が虎にはいる。

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背中を押してくれるファンのために、藤川は腕を振った。今季最多4万6788人が詰めかけた一戦。G倒の最後は、背番号22の熱投だった。

藤川 せっかく伝統の一戦なので、なんとか喜んで帰ってもらいたいという、それだけですね。本当にこれだけたくさんのお客さんが入ってくれてますんで、満足して帰ってほしい、それだけです。

真っ向勝負だった。2点リードの9回。先頭の4番岡本は、3球全て直球で右飛に打ち取った。続く阿部には際どい内角への直球がボールとなり四球。一瞬、苦笑を浮かべたが動じるはずもなかった。ゲレーロにも全球直球で攻め、見逃し三振。最後はプロ初打席に立った代打山下を一邪飛に仕留め、虎党に歓喜の瞬間を届けた。

7年ぶり2ケタセーブとなる今季10セーブ目は節目のものとなった。NPB通算235セーブ。プロ野球歴代単独4位で、現役投手では単独最多となった。「この数字というのは、全てタイガースファンと一緒に作ってきた数字なので、選手とファンの方に感謝して、また頑張りたいと思います」。お立ち台でもファンと一緒に喜びを分かち合った。

一緒に戦う仲間のためにも腕を振る。この日、鳥谷が阪神のユニホームを着るのは今季限りと表明した。「同僚として出来なくなるのは複雑だけど、まだシーズン中なので。グランド上では(感情を)出さないです。人生はまだ続く。まだまだたくさんのことが人生の中にある。岐路にたくさん立つし、自分も立つ。人生の1つの岐路ということ」。99年に入団した藤川と04年に入団した鳥谷は、ともに生え抜き選手。近年の2人はベテランとしてチームを引っ張ってきた。寂しさをのぞかせながらも、鳥谷へ贈る藤川なりのエールのようだった。

チームの連敗は3で止まった。甲子園での勝利は8月1日以来、30日ぶり。矢野監督が「僕らにとっては大きいことですけど、球児にとっては通過点だと思う。」と労ったように、まだまだ通過点。チームのため、勝利ために、藤川はまだまだ腕を振る。【磯綾乃】