記録ずくめの山賊がマジック点灯を阻止した。西武秋山翔吾外野手(31)が、9回に森の適時打で生還し、試合を決定づける得点を挙げた。これで今季100得点とし3年連続で大台到達。パ・リーグではイチロー氏以来3人目の快挙となった。負ければ首位ソフトバンクにマジック18が点灯も、5-1で勝利を収めゲーム差も1をキープした。

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膠着(こうちゃく)状態を打ち破る秋山の一打が、試合を決定づける糸口となった。9回先頭の打席。たて続けのスライダー攻めを、4球目で右前へ運んだ。塁に出ると3番森の右中間を割る適時打で生還。1回の2点先制から動かなかったスコアをようやく進ませた。「最後に仕事ができてよかった」とホッとした表情を見せた。

この得点で今季100得点とし、3年連続で大台に到達した。パ・リーグでは福本、イチローに並ぶ記録に「後ろにかえしてくれるバッターがいないとできない記録。自分が出て、誰かがかえす形ができている。その役割だけはできているのかなと思う」。森はこれでパ・リーグの捕手としては初の10試合連続打点をマーク。中村、山川の100打点コンビもいる。強力な仲間を信じて打った秋山の今季159安打目もリーグ最多を走る。

旧グリーンスタジアム(ほっともっと神戸)の芝生の上を走る51番の姿を初めて目の当たりにしたのは、小学2年生のときだった。日本シリーズまで勝ち上がったオリックスをテレビで見た。その場所で、記録に肩を並べた。「確率よくヒットを打つタイプの究極系がイチローさん。次に誰かがこの記録を出したとき『誰や? 秋山って』と言われないようにしたい」と襟を正した。

この勝ちが持つ意味は大きい。1ゲーム差で追うソフトバンクのマジック点灯を阻止。ピタリと背後につき、プレッシャーをかける。辻監督は「ソフトバンク勝った? いいね~。全然いいね~。気になるけど、その前に自分たちが目先の試合に勝たないといけない。ベンチの雰囲気もいい。選手たちはやってくれると思いますよ」と、逆転Vに絶大な信頼を寄せた。【栗田成芳】