千葉の誇りが26年間の現役生活に幕を下ろした。ロッテ福浦和也内野手兼2軍打撃コーチ(43)が23日、1年ぶりの1軍戦となる日本ハム25回戦(ZOZOマリン)にフル出場。7番指名打者で先発し、9回にはDH解除で一塁守備に。ライナーをダイビングキャッチして勝ち試合を締めた。引退セレモニーでは9度宙を舞い、長年熱い声援を送り続けた千葉のファンへ、感謝の言葉をつづった。

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福浦コールが鳴りやまない。背番号9と同じ数だけレジェンドは舞った。引退決意から8カ月。紡ぐ言葉は同僚への感謝。そしてスタンドを埋めた、あるいはテレビの向こうから祈ったファンへの思いだった。「声援が力となり、勇気をもらい、今日まで僕の体を動かしてもらいました」。全方位に深々と頭を下げた。

出るつもりはなかった。1軍戦は1年間遠ざかる。前夜、電話が鳴った。井口監督だ。「明日スタメンね」。1度は断った。だが、球場で念押しされた。打撃練習後、緩んだ肘当てを締め直した。ぎりぎりまで最高の状態を模索。「4打席も立たせてもらった。CSがかかった大事な試合で。応えなきゃいけないけど、これが実力」。2001安打目はならず。でも向けられる視線は優しかった。

朝9時の球場入りからファンが迎えてくれた。第3打席では母校の名物応援歌、レッツゴー習志野がかかった。横っ跳びの華麗な一塁守備でゲームセットとすると、両ベンチから拍手が起こった。「足を引っ張ってしまったけど、勝てたことが本当にうれしい」。

2日間で3度、泣きそうになった。前日の浦和での胴上げ。妻と愛息2人からの手紙を読んだ朝。そして9回、益田がけん制を入れてくれた時。過ぎ去る一瞬一瞬を大切に刻み込んだ。

紙吹雪の舞うグラウンドを1周し、右翼スタンドに差しかかったころ。何度背を押されたか分からない、あのメロディーが流れた。

♪俺達の福浦 一打に全て込めて 不屈の闘志を見せてくれ 千葉の誇り胸に

「これが最後なんだなあ」。ロッテ一筋26年。「ドラフト最下位からここまで来られて、たくさんの皆さんに送っていただいた。幸せな野球人生でした」。悔いは、ない。【鎌田良美】