またもや「7回の周東」だ。ソフトバンク周東佑京内野手(23)が「SMBC日本シリーズ2019」第1戦に続き、第2戦も7回に代走で登場。武器の足で巨人バッテリーに重圧をかけ、松田宣浩内野手(36)の決勝3ランにつなげた。2戦連続で代走で1得点をマークし、チームの2連勝に貢献。球界屈指の韋駄天(いだてん)が、今シリーズのキーマンとなりそうだ。

「日本の足」が超投手戦の均衡を破った。0-0で迎えた7回無死一塁。周東の名前がアナウンスされると、代走とは思えない大歓声がヤフオクドームを包んだ。

5回2死まで両チーム1人も走者が出ない、息詰まる展開。7回、一気に試合が動いた。先頭デスパイネの痛烈なゴロを巨人山本がファンブル。工藤監督は迷うこともなく、切り札を一塁に送り込んだ。

何もせずとも、巨人が浮足立った。この回からリリーフした大竹は打者グラシアルに1球も投げないうちに、一塁へ3度けん制を入れた。警戒して制球が乱れ、カウントが3-1となったところで動いた。周東がスタートを切ってのランエンドヒット。グラシアルの打球が左前に弾む間に、スプリンターは楽々と三塁を陥れた。「行けるタイミングがあれば走ろうと思っていたけど、クイックも速かった。それよりもピッチャーにプレッシャーを与えられればと思っていた。極力意識させて、真っすぐが多くなるように。一番いい形になった」としてやったり。指揮官の「あそこは行けるなら行けということだった。絶対に1点を取りたい場面。投手にどんどんプレッシャーをかけることが、得点につながると思っていた」という起用に応え、一、三塁とお膳立て。続く松田宣の決勝3ランで均衡を破った。

「代走周東」のコールが総攻撃の大号令になりつつある。周東自身も当然、「僕が出るということは点を取りに行くということ。無理してでもホームまでかえりたい」。同時に、周囲の目の色もガラリと変わる。「この回が勝負なんだ」。ベンチの思いを受け、1つになって畳み掛ける。

前日の第1戦で大きなダメ押しのホームを踏んだのも、この日と同じ7回だった。1点の重みが増すポストシーズン。侍が認めた「7回の足」が光り輝いている。【山本大地】

◆周東佑京(しゅうとう・うきょう)1996年(平8)2月10日、群馬県生まれ。東農大二-東農大北海道オホーツク。大学で明治神宮大会、全日本大学選手権出場。17年育成ドラフト2位で入団。昨年27盗塁でウエスタン盗塁王。今年3月に支配下選手登録。179センチ、67キロ。右投げ左打ち。