ソフトバンク王貞治球団会長が15日、宮崎キャンプを初視察し、いきなり「熱血指導」を行った。

東京から午前8時発の便で宮崎入り。アップ中に球場に到着すると、グラウンドジャンパーとチーム帽子をかぶってグラウンドに立った。若手中心のキャンプだが、日本シリーズ制覇から約3週間。久々に聞く球音に王会長の胸もときめいた。

「いやあ、日本の秋はいいねえ」。そう言ってメイン球場のフリー打撃を見守ると、午後からは第2球場へ足を運び、育成の黒瀬健太内野手(22)と田城飛翔外野手(20)の特打を視察。前日(14日)の巨人との練習試合で豪快な3ランを飛ばした黒瀬には、バットを手に身ぶり手ぶりで指導した。

「昨日、ホームランを打ってそれを追いかけているようなところがあったしね。疲れるだろうけど、打席の中で何か1つテーマを持って打てば集中できるからね」。打撃ケージ後ろに約1時間立ち続け「いいぞ、もう疲れたか!」と22歳の若きスラッガー候補を叱咤(しった)激励。突然の王会長の指導に黒瀬も緊張感いっぱいでバットを振った。「『上体だけで振ったらダメ。疲れたときこそ下半身を使わないと。しっかりとボールとバットの芯同士を当てろ』と会長に言われました。ありがたかったです」。

3年連続日本一に輝いたとはいえ、チームは世代交代の時期に来ている。王会長も若手の成長を期待している。「この世界に年齢は関係ない。とにかく2カ月間のオフもしっかりやってもらいたいね。野球で飯食っているんだから野球やるしかないんだよ」。王会長の視線は、もう来季へ向けられている。【佐竹英治】