【米グアム16日=山本大地】ソフトバンク甲斐野央投手(23)が「8回の男」を狙う。プロ初の自主トレは抑えの森に同行し、南国グアムで鍛えられている。

入団1年目は勝ちパターンの継投にも加わって65試合を投げ、28ホールドポイント、8セーブとフル回転。2年目は課題の四球を減らし、師匠へつなぐセットアッパーの座をつかみ取る。

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甲斐野に向けて、師匠・森の厳しい声がたびたび飛んだ。「ヒロシ、しっかり走れ!」。「キャッチボールからしっかりコントロールを意識しろ!」。公私ともに慕う守護神の薫陶を受けながら、充実のプロ初自主トレを過ごしている。グアムでは走り込みやウエートトレーニングだけでなく、すでにブルペン投球も始めた。「イメージよりもハードです。自分からお願いしたんですが、プラス面しかない」とこんがり日焼けした顔でうなずいた。

ルーキーイヤーの昨季は65試合に登板し、ポストシーズンでも8試合に投げて日本一まで1軍で戦い抜いた。2020年、背番号「20」が狙うのは「8回の男」だ。「それを目標にしたい。僕が良かったら投げて、良くないときは他の人というのではなく、固定できるように。ポジションをしっかりつかみたい」と気合を入れる。もちろん簡単なことではないと理解している。「ティト(モイネロ)もいるし、以前に投げていて去年は投げられなかった人もいる。(新人の)津森も入ってくる。相手バッターとの勝負だけど、チーム内の競争にも勝たないといけない」と口元をキュッと結んだ。

課題として挙げるのは制球面のレベルアップだ。昨季は58回2/3を投げ、2イニングに1個以上の34四球を与えた。「余計な四球を出してから打たれたこともあった。10個くらい減らせたらだいぶ違ってくると思う」。定位置確保への近道はシンプル。過去6年連続で50試合以上に投げながら、1度も20四球を超えたことのない森からは、自主トレ中も口酸っぱく指摘されている。「(森)唯斗さんはキャッチボールからもすごく意識している。近づけるところまで近づきたい」と貪欲に学ぶ日々だ。

1年目に活躍した新人が2年目に成績を落とす-。もっともらしく球界で語られるジンクスを打ち破り、師匠につなぐセットアッパーの座を確固たるものにする。

◆ソフトバンク近年の勝利の方程式 秋山監督時代の09年には「SBM」と呼ばれた最強方程式「摂津→ファルケンボーグ→馬原」が確立し、10年のリーグ優勝に大きく貢献した。その後、14年は森が新人シーズンで「森→五十嵐→サファテ」が主流だった。工藤監督1年目の15年は「五十嵐→バリオス→サファテ」。16年は主に「森→スアレス→サファテ」で、森とスアレスが入れ替わるパターンもあった。17年は岩崎がブレークし「森→岩崎→サファテ」で、18年は加治屋が頭角を現し「モイネロ→加治屋→森」のパターンが増えた。

昨年は故障者が多く、固定できずにいたがシーズン終盤には「高橋純→甲斐野→森」が確立。昨年森がセーブを挙げた試合で、その直前に甲斐野が登板していたケースは8試合、最多はモイネロの18試合だった。近年は2年連続で方程式が続くのことはまれで「8回の男」が“年替わり”になっている。

<ソフトバンク今季の方程式候補>

◆守護神

サファテ(故障中)

◆7、8回候補

甲斐野

高橋純(先発転向も)

モイネロ

嘉弥真

杉山

岩崎

加治屋