13年目の中田は、ひと味違う。日本ハム中田翔内野手(30)が、本拠地でのオリックス戦で荒西からオープン戦1号。0-2の2回、力みのないスイングで飛ばしたライナー性の打球は「ガツン」と乾いた音を残し、無観客の左翼席へ突き刺さった。抜けたカットボールを「大振りすることなく、謙虚に捉えることが出来た」と自画自賛。フルスイングを封じた天性の飛ばし屋が、進化を証明した1発だった。

オフに瞬発力を高めるトレーニングに注力。2月のキャンプでは、体の状態を考慮してトレーナーが省こうとしたダッシュなどの瞬発系のメニューも「やらせて下さい」と食らいついた。今では「7割の力」でバットを振っても、打球が軽々とフェンスを越える。

中田 ボールを捉える感覚が変わりつつある。ボールの下に、ちょっとバットを入れてあげる。昔みたいに、ただシバキにいくんじゃなく、ヘッドを使う感じ。

高校時代から、フルスイングが代名詞だった。「シバキにいく」とケンカ腰の表現で、ボールを引っ張っていたのは、もう過去の話だ。長年、近くで見てきた金子野手総合コーチは「バックスイングからトップまで、あっという間にバットが出る」と、うなずいた。

栗山監督は「間違いなく、ここ数年で一番何かをつかんでいる。今を大事に、やっていってもらいたい」と期待大。本人いわく、例年と比べ「レベチ(レベルが違うのギャル語)」の背番号6。プロ13年目の覚醒を狙う。【中島宙恵】