新型コロナウイルスの影響でセンバツの中止が発表されて一夜明け、プロ野球選手たちが無念の後輩球児を思いやった。母校の大阪桐蔭が夢を絶たれた阪神藤浪晋太郎投手(25)や、95年の阪神淡路大震災で中止危機を体験した福留孝介外野手(42)らが続々エール。夏の大会に向けて気持ちと目標を切り替え、球児たちが奮闘することを願った。

  ◇    ◇    ◇

かつて甲子園を目指した球児だったからこそ、藤浪は後輩球児たちの無念がわかった。「無観客でもいいから、やらせてあげてほしかったなと。世の中がこんな感じなので仕方ないとはいえ、やらせてあげてほしかったなというのはあります…」。個人的な意見と前置きしつつ、センバツに出場できなくなった選手たちを思いやった。

その右腕で、甲子園を何度も沸かせた。大阪桐蔭時代の12年、史上7校目となる春夏連覇を達成。エースとして、聖地のマウンドで躍動した。母校も今大会に出場予定だったが、新型コロナウイルスの余波を受ける形となった。「(大阪桐蔭も)出る予定だったので…。センバツに向けてかなり厳しい冬の練習をしていたでしょうし。すごい残念ですけど、仕方ないと言えば、仕方ないのかなと」。無念の後輩たちを思い、複雑な心境を明かした。

高校球児たちが目指す場所は、阪神が本拠地とする甲子園。強豪校から初出場校まで、1人1人の夢がこの舞台に詰まっている。それが、球児の聖地と呼ばれる理由だ。「各校、準備してきたでしょう。常連校は常連校で厳しい冬の練習をやったり。21世紀枠でなかなか出れないような、今まで出られなかった初出場の学校もすごい楽しみにしていたでしょうし…。選手の思いとかを思うと、ちょっとかわいそうですね」。努力の日々を経験してきたからこそ、言葉では言い尽くせない無念が理解できる。

だが立ち止まってはいられない。「中止と決まった以上は各校、夏に向けて切り替えてやるしかないと思う」。人生、予測できないことが起こる。でも前向きに、ポジティブに。これがかつて甲子園を沸かせた虎の背番号19からのエール。後輩たちが夏に躍動することを願い、力を込めた。【奥田隼人】

◆大阪桐蔭時代の藤浪と甲子園 3年生の12年に春夏連覇を達成した。センバツでは1回戦で大谷翔平(現エンゼルス)擁する花巻東を相手に12奪三振の快投発進。決勝の光星学院戦まで、史上初めて甲子園での全試合で150キロ以上をマークして優勝というの快挙を成し遂げた。夏も順当に勝ち進み、準決勝の明徳義塾戦では自身初の甲子園完封勝利をマークした。春に続いて決勝を戦った光星学院戦は圧巻のピッチング。14奪三振は夏の決勝78年ぶり最多タイで、準決勝-決勝の連続完封は20年ぶり8人目。春夏連覇を彩った。