開幕が不透明な状況だからこそ、広島鈴木誠也外野手は目の前の課題に集中する。

マツダスタジアムで3日間続いたミニキャンプに参加し、シートノックやフリー打撃、締めくくりのロングティーなど全メニューをこなした。新型コロナウイルス感染者拡大で先延ばしとなった4月24日開幕も変更となる可能性は十分ある。「こういう状況なので(練習に)身が入りづらい」。苦慮しながらも「ただ(集中しないと)もったいない。やりたいことをしっかり1日1日やれば充実してできる」と気持ちを切らない。

開幕日が決まっていないだけに、調整の逆算はできない。「今の1日の方が大切。先を見るにしても、(開幕日よりも)もっと先を見ないと。開幕を気にしてもどんどん延びていくかもしれない。深く考えると疲れる。1日1日やっていければ」。一度キャンプ、オープン戦をへているだけに、開幕日さえ決まれば再び状態を上げられる。今は調整段階と割り切り、自ら課題を設定しながら目的意識を忘れない。この日も「完成がないので、体の状態で打撃も違う。バットに当たるまでの過程をどうやればいいのかを考えている」と内容ある1日とした。

1年延期が決まった東京五輪の開幕は来年7月23日に決まった。「僕自身、出られるかどうか分からない。今年けがするかもしれませんし」。そう言葉を選びながらも「もちろん出たい気持ちはある」と意欲を示した。広島だけでなく、日本の主砲は、不安広がる日々にも確かな成長の歩を進めている。【前原淳】