プロ野球界を巡って「球団拡張(エクスパンション)」の動きがくすぶっている。今年1月11日、地元福岡のTNCテレビ西日本で放送された番組内で、ソフトバンク王貞治球団会長から「できるものなら16(チーム)に。あと4つ球団が誕生してほしい」と注目発言が飛び出した。反響はまだ収まらない。
その真意をうかがうために“世界の王”を訪ねたのは、すでにプロ野球がキャンプインしていた2月のことだ。そこで王会長の考えを聞くことができた。
「ぼくはもっとアマチュア選手の受け皿があったほうがいいと思ってるんです。そのためにはチーム数を増やすことですね。プロ野球界は門戸を閉じるんじゃなくて、これから広げていくことが大切です。それが将来の野球界のため、ぼくはそう思ってます」
16球団制は4チームを4地区に配置するプラン。18、19年のソフトバンクは、リーグ2位からクライマックス・シリーズ(CS)を勝ち上がって、日本一に上り詰めた。“敗者復活”からの頂点を好意的に受け止めない声も承知している。
「だから16チームならあれこれと言われない。12球団しかないから、CSという変なやり方でやっているとか言われるわけで、もっと球団を拡張すべきなんですよ」
プロ野球界では04年(平16)に近鉄球団の消滅を契機に「球界再編」が起きた。経営者側が「1リーグ制」導入に動き、プロ野球選手会が反発。労使間は激しく対立し、史上初のストライキを招いた。
このときはアテネ五輪が開催された年で、ソフトバンク、楽天が誕生するなど、未曽有の激動に見舞われた。ソウル五輪の88年は南海がダイエー、阪急はオリックスに球団売却し、戦後派企業が進出している。
年明けにこの欄で「五輪イヤーは波乱含み」と指摘したのは、過去をさかのぼっても、偶然とはいえ国家的イベントが開催された年に劇的な変化をみせているからだった。
王会長は「チームを持ちたいという企業はあるんですよ」と含みをもたせた上で、「そういう会社がでてきた場合には(球界参入に)ふさわしいかどうかを野球界で慎重に審査をすべきでしょうね」と語った。開幕が大幅延期された野球界にとっては、さまざまな意味で緊張の年になる。



