「何か寒かったり、暑かったりするね。ウィーラー、これ何て言うの?」「サンカンシオン」。「徳川家の第15代将軍は?」。「ヨシノブ」。「巨人の監督は?」「ヨシノブ」。当時の高橋監督の名前もスラスラ答え、ナインの爆笑を誘う。楽天在籍時の円陣では、常に中心だった。

名門ヤンキース、日本で培った人心掌握術を手に、巨人にトレード移籍でやって来たハクション大魔王。楽天時代は、仙台のバーで、バーボン片手に、いつも女の子に囲まれていた。「トイストーリー」のポテトヘッド似の愛くるしい笑顔ですぐに「トモダチ」。時には赤ちょうちんの居酒屋で、他の外国人に日本語のレクチャーに励む。

巨人にとけ込むのも、あっという間だった。後は結果だけ。今季5度目のスタメンは初の「3番」でも、呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンと、かち込んだ。3点リードの5回1死一塁。昨季マツダスタジアムで1度も勝てなかったK・ジョンソンから、左中間へ移籍後初の1発。「チームのみんなで対策が出来ていた」と魔法を掛けた。

テレビアニメ「ハクション大魔王2020」の公式ツイッターも「ウィーラー選手、おめでとうございます! さっすがおとたまね♪」と祝福した。それでも「向こうは向こうの仕事をしてるだけだよ」。つぼの中に隠れるように、照れ笑い。いつでもファンの願いをかなえるでごじゃる。【栗田尚樹】