借金2の4位に甘んじる日本ハムだが、チームが誇る「ビッグ5」はパ・リーグの打撃ランキングを席巻している。

9月15日時点で24本塁打、80打点で両部門のトップに立つのが中田翔内野手(31)。打率部門では、2位に3割4分1厘の近藤健介外野手(27)、5位に3割1分1厘の西川遥輝外野手(28)、7位に3割1厘の渡辺諒内野手(25)、8位に2割9分9厘の大田泰示外野手(30)と4人がランクインしている。単純に、すごい。しかも近藤は出塁率も4割8分7厘で86年落合(ロッテ)がつくった日本記録に9月15日時点で並んでいる。

シーズン75試合を消化しての成績で、チームの攻撃の核を成す5選手が残す数字は間違いなく頼もしい。ただ、開幕直後はいずれも本調子ではなかった。37試合を終えた7月31日時点での打率ランキングで10傑入りしていたのは8位の近藤(3割6厘)だけ。中田も本塁打、打点で大阪桐蔭の後輩でもある楽天浅村の後塵(こうじん)を拝していた。チーム打率は2割3分でリーグ最下位だった。

8月以降の38試合で「ビッグ5」は一気に本来のパフォーマンスを発揮した。気が付けばチーム打率は2割5分3厘でリーグ2位に浮上している。そこには、チームとして各選手の力量を最大限に発揮させるマネジメントがあったからだと思う。

栗山監督はタイミングを見極めながら、5選手の負担軽減に努めてきた。例えば、指名打者(DH)として最多出場しているのは不動の4番である中田(33試合)で、2番目は驚異の出塁率を誇る近藤(20試合)だ。打線の根幹となる2選手だからこそ、守備での負担をなくすことでコンディション維持をさせてきた。西川はDHで7試合、欠場は3試合。渡辺は2試合欠場、大田も3試合欠場させている。「普通にやれば、数字が残る選手たち」だからこそ、使いたくても我慢しながら用兵してきた。

投手陣はチーム防御率4・00でリーグ2位と奮闘する。打撃面でも強力な「ビッグ5」は他球団の脅威だが、チームの成績に反映されていない。失策数は48でリーグワーストという側面も見過ごしてはいけないが、このまま終わるようなポテンシャルのチームではないはずだ。

栗山監督は「全ての物事は表裏一体だ」と言う。いい結果も悪い結果も、見た目の印象だけで善しあしは測れない。ここまでの75試合で、単純な個人の能力の足し算だけでは勝つことができない、野球の奥深さを実感してきた。残りは45試合。何が起こるか分からない、変則的なシーズンだ。潜在するチーム力が爆発すれば、一気にまくることだって可能だ。その火種が、日本ハムには確実にある。【木下大輔】