目を背けたくなるような現実が広がる直前だった。

無安打が続いた9回2死。丸が2ボールから中前に運ぶ。史上2度目となる継投ノーヒットノーランは逃れたが、続くウィーラーは二飛に倒れ、3試合で崖っぷちに追い込まれた。

巨人原辰徳監督は、厳しい表情のままベンチ裏へ引き上げた。「非常に悔しい思いを、もう全員が悔しい思いをしているわけでね。結果としてこういう形になった。今日のうちにしっかり反省するところはしてね、明日に備えてゆっくり休んで。目が覚めたら覚醒していると、なってもらいたいと思います」。

生かしたかったチャンスを逃したことが、終盤まで響いた。1回に1番吉川尚がソフトバンク牧原の悪送球で二塁まで進む。無死二塁から、松原のバントは捕手の前に転がった。犠打失敗。1死二塁と好機は続くも、頼みのクリーンアップは坂本がチェンジアップに空振り三振、左腕ムーアに厳しく内角を突かれた岡本は遊ゴロに倒れた。

パワーピッチャーがそろう相手投手陣に対して、第1戦から4安打→5安打→1安打と打線が沈黙。チームをけん引してきた「サカオカマル」のクリーンアップは、3試合計31打数5安打、打点0に封じられる。元木ヘッドコーチは「意地を見せるしかないでしょ。ジャイアンツというネームを背負ってるわけだから。すごい歴史の古いチームでやっているわけだから。明日はみんなで必死になってやるしかない」と言った。

日本シリーズ球団ワーストの13失点だって、寸前でノーヒットノーランを逃れた試合だって、結果は同じ1敗。指揮官は「もう前に行くしかないわけだから。そういう気持ちで行きます」と闘志を込めた。チームの力を結集し、徳俵での踏ん張りを見せたい。【前田祐輔】

▼巨人は1安打。シリーズの1試合1安打以下は01年<1>戦の近鉄(対ヤクルト)が1安打、07年<5>戦の日本ハム(対中日)が無安打に抑えられたのに次いで3度目。巨人では過去6度あった2安打を下回る最少。

▼巨人は日本シリーズで楽天との13年<7>戦、ソフトバンクとの19年<1>~<4>戦、20年<1>~<3>戦と8連敗。シリーズ8連敗以上は巨人が西鉄との58年<4>~<7>戦、南海との59年<1>~<4>戦、61年<1>戦でワーストの9連敗を記録したのに次ぎ2度目。原監督も8連敗。監督のシリーズ8連敗以上は水原監督の10連敗(58、59年巨人で8連敗、62年東映で2連敗)以来で、巨人の監督では水原監督の8連敗に並ぶ最多。