「ミスター・ポストシーズン」中村晃外野手(31)のバットが巨人に襲いかかった。3回2死二塁。巨人サンチェスのフォークをとらえた打球は、鷹党の待つ右翼スタンドに飛びこんだ。先制2ラン。「追い込まれていたので、我慢しながら。最後の最後で甘いボールが来ました」。7回には左腕高梨から3点目となる適時打。投手戦の中で効果的な2安打3打点だった。

どんな打順でもこなし、工藤監督に「いてもらわないと困る」と言わしめるくせ者。だが短期決戦では柳田やデスパイネもびっくりの「スラッガー」に化ける。シーズンでは通算46本塁打ながら、日本シリーズではこれが14、15、17年に次ぐ4本目。クライマックスシリーズ(CS)では今年、第2戦で2打席連続本塁打を放ってMVPを獲得したほか、16年から5年連続本塁打と驚異的な勝負強さを見せている。

中村晃の1発はチームにとって、ポストシーズン20試合連続の本塁打。球団名がソフトバンクになった05年からは、ポストシーズンで節目のチーム100号となった。今季リーグトップの126本塁打をマークした自慢の武器は、日本シリーズでも健在だ。

第1戦では一塁守備で、打者走者の丸と接触していた。SNSでカブス・ダルビッシュが言及するなど話題を呼んでいたプレーだ。中村晃は「(当日に丸から)電話がかかってきました。同級生(同じ学年)ですし、丸のこともよく知ってますし。いろんな人がいろんなこと言ってますけど、ぼくと丸の中では終わっているので。いいのかなと思っています」と、穏やかに振り返った。

日本一というゴールはすぐそこまできた。「最後の力を振り絞って、全員で勝ちにいきたい」と、力強く言った。【山本大地】

▼中村晃が先制弾を含む3打点。シリーズのV打点は14年第4戦サヨナラ右本、17年第2戦逆転右安、18年第3戦先制右安に次いで4度目。シリーズの最多V打点は長嶋(巨人)の11度だが、ソフトバンクで4度は松田宣と並び最多となった。