ソフトバンク栗原陵矢捕手(24)が、日刊スポーツに独占手記を寄せた。推定年俸1000万円の若武者は6年目の今季、初めてレギュラーに定着し118試合に出場。ともにチーム2番目の17本塁打、73打点をマークし、日本シリーズでは1本塁打を含む7安打を放ってMVPに選ばれた。ブレークのきっかけとなった「師匠」中村晃の言葉などこの1年をつづった。

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いや~疲れました。体もそうですし、気持ちの面でも疲れましたね。だんだん、朝起きる時につらいなと思うことが増えました。まずはゆっくりしたい。お風呂につかりながらですね。初めて1軍でずっと試合に出て、リーグ優勝、そして日本一という形で終われて良かったです。日本シリーズは緊張感も、充実感もありました。テレビのニュースで普段以上に取り上げていただいたり、注目されているなと感じてうれしかったですね。

今季は寮を出て、人生初の1人暮らしでした。とにかく、食事の面できついと思うことが多かった。自分では料理は全くできないですし、コロナ禍で外食もできなかった。何かを買って帰るかウーバーイーツを頼むかという感じで、どうしても物足りない部分はありましたね。食事のバランスとかも、できてなかったと思います。掃除や洗濯は平気でしたよ。そこはあまり苦にはなりませんでした。

チームメートや先輩と一緒に楽しく外食することが好きなので、遠征先でどこにも行けないこともつらかった。ストレスはたまりまくりです。部屋にいても何もできないですし。寝ることで発散するしかなかったですよ、ほんとに。

去年は1軍で少し試合に出させてもらいましたが、何かつかんだと言えるものは全くありませんでした。今年1月の自主トレで、中村晃さんと話をできたのが大きかったと思います。打撃のタイミングの話はよくしてもらいましたし、「結果が出るまでは野球に集中して、野球のことだけを考えてやれ」と言われました。自分はちゃらんぽらんなところがあるので…。6年目でしたし、しっかりしないといけないと改めて思った言葉でした。

捕手として入団しましたが、外野や一塁をやることに全く迷いはなかったです。試合に出られるならどこでもやりたかった。今も練習はしていますし、チームに何かあった時には捕手をやる準備はしています。でも捕手で勝負というのは今は持たずに、試合に出ることが一番大事だと考えています。

先輩方の存在はありがたいです。打てなかったり悩んだりしている時には声を掛けてくれます。円陣で、松田(宣浩)さんたちからむちゃぶりをされるのは、しんどいですよ(笑い)。モノマネをしたりしてますけど、そんなに得意というわけではないんですよ。でも本当にありがたいです。いつもやりやすいような環境をつくってくださって、感謝しています。

来年からがもっと大事になる。もっともっと打率を上げたいなと思いますし、三振も多いので、四球を取ったり出塁率を上げないといけない。さらにレベルアップして、もっと信頼される選手になりたいです。(ソフトバンク捕手)

◆栗原陵矢(くりはら・りょうや)1996年(平8)7月4日、福井県生まれ。春江工では2年春にセンバツ出場。3年時は高校日本代表で主将。14年ドラフト2位でソフトバンク入団。3年目の17年6月13日巨人戦で1軍デビュー。今季はロッテとの開幕戦でサヨナラ打を放つなど自己最多の118試合に出場し、打率2割4分3厘、17本塁打、73打点。179センチ、75キロ。右投げ左打ち。