工藤ソフトバンクが新伝説を作った。日本一の瞬間、工藤公康監督は(57)はベンチで両手を顔の前でしっかりと握りしめた。巨人に対し全てで力の差を見せつけた。日本シリーズ12連勝、ポストシーズン(PS)16連勝はともにプロ野球記録を更新。新型コロナウイルス感染予防のためリーグ優勝と同様に胴上げはなかったが、グラウンドで会心の笑みを浮かべて万歳三唱した。優勝監督インタビューで声を弾ませた。

「うれしくてうれしくて地元福岡で日本一になれて最高です。選手たちも苦しいシーズンだったが、最後はこんな素晴らしい戦いをしてくれて感謝してます」。

就任6年で日本シリーズに5度進んで、すべて優勝。現役時代は14度出場して11度優勝しており、通算16度目の日本一となった。これで選手で4度、監督で11度の川上哲治(巨人)を超えて単独2位となった。

「チームが連勝していると『自分で止めたくないな』って思っちゃう。プレッシャーだよね。でもそのプレッシャーは嫌じゃないんだよ」

現役時代、勝ち続けることへの重圧を力に変えてきた。西武、ダイエー、巨人で頂点を味わった。西武の黄金時代を担った左腕は、勝ち続ける使命を背負った。指導者でも同じ。パ・リーグの雄となっていたソフトバンクの監督を引き受け、強いプレッシャーの中で頂点に立ち続ける。「私自身、プレッシャーもありましたが、楽しみな部分もあった。これからも強いホークスでいられるよう、一生懸命頑張ります」。工藤ホークスは野球界に真の強さを刻んだ。【浦田由紀夫】

▼工藤監督は4年連続5度目の日本一。シリーズで優勝5度は川上監督(巨人)の11度、森監督(西武)の6度に次ぎ、水原監督(巨人、東映)と並び3位タイ。シリーズ4連覇は65~73年川上監督に次いで2人目となり、就任6年目で5度日本一は森監督と工藤監督しかいない。工藤監督は選手時代の11度と合わせ、シリーズは通算16度目のV。選手と監督を合わせた優勝回数では川上監督の15度を抜き、森監督がマークした17度の最多記録へあと1度に迫った。これでシリーズの監督成績は通算20勝4敗1分け。25試合目で20勝到達は川上監督と森監督の30試合を抜く最速記録だ。