オリックスが、今季限りで阪神を退団した能見篤史投手(41)に対し、1軍投手コーチ兼任も視野に獲得に本腰を入れていることが26日、分かった。

長年の低迷からの脱却を目指し、救援左腕を補強ポイントの1つに挙げて阪神退団後の能見に注目。阪神で先発、セットアッパーを務め、05年のリーグ優勝、13年には日本代表も経験したキャリアを評価し、指導力への期待も込めて模索していることが明らかになった。

能見は周囲に「納得いくところまで(現役で)やりたい」と話している。阪神での最終登板となった11日のDeNA戦(甲子園)では最速149キロの力のこもった速球を披露し、健在を印象づけた。オリックスの勝ち継投の中継ぎ左腕は、斎藤が台頭してきたものの、山田にほぼ頼りきり。経験豊富な能見なら、救援左腕の手薄さを補う戦力となる。11日の阪神ラストゲームでは、梅野や大山らが涙ながらに見送ったように、チームメートから慕われた人材。20代が多いオリックス投手陣に、背中で生きざまを示せる存在だ。

オリックスはこの日、水本勝己1軍ヘッドコーチ(52)ら3人の新コーチを発表した。残る未発表の新コーチは、高山コーチとコンビを組む1軍投手コーチ。福良GMは「いろいろ考えて、やっています。(発表は)12月に入ってからになります」と説明した。今後は交渉解禁となる12月7日のトライアウト終了後を待って、能見と即交渉に入る。入団が決まれば、球界でもほぼ例を見ないサプライズ人事となる。

 

◆能見篤史(のうみ・あつし)1979年(昭54)5月28日生まれ、兵庫県出身。鳥取城北-大阪ガスを経て04年ドラフト自由枠で阪神入団。12年に最多奪三振を獲得。14年には5試合連続2桁奪三振のセ・リーグ新記録。通算443試合、104勝93敗、防御率3・34。通算1496奪三振は阪神歴代4位。180センチ、74キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸9500万円。

 

◆移籍した年にコーチを兼任した選手 75年に大洋から太平洋にトレード移籍した江藤慎一は、いきなり監督を兼任。3位に入る健闘を見せたが、1年で退団し、選手専任としてロッテに移った。近年では、松井稼頭央が18年に楽天から古巣の西武に復帰した際、テクニカルコーチ兼任。同年に実松一成が巨人から日本ハムに戻り、2軍育成コーチを兼ねた例がある。古巣復帰ではなく初めて所属する球団に移籍即兼任コーチとなれば、球界でも異例だ。