有原の穴はすべて埋める。日本ハム上沢直之投手(26)が7日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で自主トレを公開した。メジャー移籍が決まったエースの後を継ぐ新「投手キャプテン」に立候補。目標を15勝に設定し、「最多勝」「開幕投手」など、有原が担ってきた役割を一身に背負い、チームを優勝させる決意を語った。

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上沢の表情に例年以上の責任と自覚があらわれた。「今年は有原さんが抜けて初めてのシーズンになる。有原さんが担っていた役割を誰かが補わないといけない。僕が一役買って出たいなという強い思いでいる」。昨年投手キャプテンを務めたエース有原がメジャーへ移籍。すでに公言している開幕投手の座とともに、自身が引き継いでいく覚悟を示した。

今年でプロ10年目。年下の若手も多くなり、チームの中心的立場となった。「(同期の)近藤も選手会長になったし、僕らの世代がしっかりやらなきゃいけないなという思い。(主将となれば)投手陣みんなが気持ち良くプレーできるようにはしてあげたい」と力を込める。

自身初のタイトル奪取も1つの目標だ。中でも強く意識するのが最多勝利投手。「僕がプロ野球人生で一番勝ったのが11勝なのでそれ以上。有原さんも15勝で最多勝を取った(19年)ので、そこを目指していきたい」。キャリアハイの成績で名実ともにエースとなる。

この日は外野フェンス沿いを何度も全力疾走。キャッチボールでもマウンドとホームベースの距離で、宇佐見のミットを目がけて力強いボールを投げ込んだ。「ボールの感覚どう?」。時折助言を求めながら、気持ちはすでに実戦モード。今月中旬をめどにブルペン入りも予定している。

正月は家族とともにリフレッシュした。1歳2カ月になる長女は小走りが出来るまでに成長。キャンプイン前の愛娘との貴重な時間を過ごすパパは「チームのためにも個人のためにも、僕の野球人生の中でも最高の成績を残して、なんとかチームを優勝に導けるような活躍が出来たらいい」。上沢の21年シーズンが幕を開けた。【山崎純一】

◆メジャー移籍の穴 日本ハムでは、絶対的エースだったダルビッシュ退団の翌12年に、プロ入り5年間でわずか6勝だった吉川が覚醒。14勝を挙げてリーグ優勝に貢献し、MVPを獲得した。一方、大谷がエンゼルスに移籍した18年は、11勝の上沢が勝ち頭で、規定投球回数をクリアしたのはマルティネス(10勝11敗)を含め2人だけ。Aクラス(3位)はキープしたが、CSファーストステージで敗退した。