日本ハム栗山英樹監督(59)が19日、ドラフト1位伊藤大海投手(23=苫小牧駒大)の呼び名を「ヒロ」に決めた。コミュニケーションの一環で選手を愛称で呼ぶことが多い指揮官は、大本命とみられたヒロミではなく、チームのヒーローになってほしいとの思いを込めて決定。千葉・鎌ケ谷の2軍施設で行われた新人合同自主トレで、初めて捕手を座らせて投球練習した伊藤も「早く呼ばれたい」と笑顔を見せた。

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伊藤のブルペン入りを初めて直接視察した栗山監督は直後に本人と言葉を交わした。「こっちが(伊藤のペースに)合わせるから」。即戦力右腕の心をほぐすメッセージを送ったが、名前や愛称では「今は呼んでいない」とのことだった。今後はどうするのか。問われた指揮官は、あえて大本命候補を否定した。

栗山監督 ヒロミって言うと、まだ岡ちゃん。ヒロミは岡ひろみ。ヒロミではない。

18年途中にロッテへ移籍した「岡ちゃん」こと岡は、指揮官が大好きな人気漫画「エースをねらえ!」の主人公と同姓同名。特別な思い入れから「ヒロミとは呼ばないよ」と説明した後、ポロッとつぶやいた。

栗山監督 ヒロって、高校どこだっけ?

決まった。伊藤は「ヒロ」。これまでも多くの選手に親しみを込めた呼び名を使ってきた。ファーストネームを採用することも多いが、今回はニックネームに決めた。

伝え聞いた伊藤も、思わず笑みがこぼれた。

伊藤 うれしいです。ヒロミより「ヒロ」の方が(距離が)近い感じでうれしいです。

幼少期から慣れ親しむ「ヒロ」と呼ばれることを大歓迎。まだ呼ばれていないだけに「早く呼ばれたいです」と熱望した。

栗山監督は「ヒロ」の呼び名に期待も込めていた。「ヒーローのヒロだよ」。チームを勝利に導くヒーローになれ-との願いを込めた。伊藤は「照れちゃいますね」と苦笑いも、期待に応える心技体の準備は万全だ。初めて捕手を座らせて投げた26球は指揮官の視線で力むこともなく、落ち着いていた。栗山監督も「しっかり地に足を着けながらやっている感じ」と順調な調整ぶりを披露した「ヒロ」の姿にひと安心。あとは「ヒロ」呼びの解禁はいつになるか。1軍スタートが濃厚な春季キャンプで初お披露目かもしれない。【木下大輔】

◆日本ハム栗山監督による選手の呼び名 基本的には「ユウキ」(斎藤)、「ショウヘイ」(大谷)、「コウタロウ」(清宮)、「コウセイ」(吉田)などファーストネームを採用することが多い。名字から「スギ」(杉浦)、「ナベ」(渡辺)、名前からは伊藤と同じケースで「ナオ」(上沢直之)などがある。選手間での愛称が採用された「チャミ」(宇佐見)のようなレアケースも。名字のまま呼ぶことももちろんあるが、各選手への愛情が変わることはない。

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