ソフトバンクが主砲の1発で、CS争いに踏みとどまった。柳田悠岐外野手(33)が2回、逆転の28号3ランを放った。初回の3点ビハインドをすぐさまひっくり返し、首位ロッテ相手に逆転勝利を決めた。

柳田らしいアーチだった。0-3から2点を返し、なおも2死一、二塁。ロッテ二木の外角直球に逆らわず、左中間ホームランラグーンにたたき込んだ。「いいスイングで振り抜くことができました。久々にいい感触でした」。9月23日ロッテ戦以来20試合ぶりの本塁打を、満足そうに振り返った。

満身創痍(そうい)の戦いだ。今季はここまで全138試合に先発出場。東京五輪でも主力で戦い、疲労はピークに達している。10月に入ってから左手親指を痛め、試合前の打撃練習を行わずに試合に出場したこともあった。「それに打ち勝たないといけないんですけど、まだまだやなという感じです」。成績が下降したチームの主砲として、ふがいなさをかみ殺した。

柳田の逆転弾に勢いづいた打線はその後も追加点を重ね、9月5日オリックス戦以来の2桁得点をマークした。ただ、3位の楽天も勝ったため、ゲーム差は5のまま。17日にもCS進出の可能性がなくなるという瀬戸際の状況は、変わらなかった。それでも工藤監督は「大きい1発ですよね。本人が何より、いい打ち方ができたと言っていたので、明日以降につながると思います」と、主砲の復調を歓迎した。

自身初の本塁打王へ、トップのオリックス杉本と4本差。チームも崖っぷちだが、まだ5試合残っている。柳田は「結果うんぬんより、とにかくいいスイングがしたい」と雑念を払い、残された打席に集中する。次戦も、チームを救う1発を打つ。【山本大地】