ソフトバンクの次期監督に藤本博史2軍監督(57)の昇格が有力になっていることが22日、分かった。7年目の工藤公康監督(58)が成績不振の責任をとって今季限りで退任する意向を示し、球団は外部招へいも含めて後任を検討していた。

南海出身の藤本氏は11年に打撃コーチとして復帰し、1軍から3軍まで全てで指導歴がある。チームの育成、強化の流れをよく知る男に白羽の矢が立った。

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ソフトバンクの後任監督人事は、藤本2軍監督の昇格で決まりそうだ。当初球団は工藤監督に続投を要請したが、4位に沈んでいる責任をとって辞退。小久保ヘッドコーチの昇格や外部からの招請など急ピッチで後任探しを進めてきた。CS進出は極めて厳しい状況で、日本一5連覇の夢も途切れかかっている。8年ぶりのBクラス転落の危機にあえぐ中、チーム変革の全体像を見渡せる人材として、1軍から3軍まで指導してきた藤本氏が浮上した。

藤本氏は天理から81年ドラフト4位で南海入り。ダイエー、オリックスでプレーし、98年に引退した。野球解説者として活動した後、11年に2軍打撃コーチとしてソフトバンクに復帰した。その年ルーキーだった柳田への熱血指導は有名。フルスイングのよさを消さず、とことん練習に付き合うスタイルでチーム、球界の顔に育てた。秋山監督時代の13、14年と、工藤監督の17、18年に1軍コーチも務めた。19年に3軍監督となり、育成選手だったリチャードを強化するなどスラッガー育成に情熱を注いできた。今季から2軍を率いている。

ソフトバンクの今季失速の要因の1つに得点力低下が挙げられる。主力野手が高齢化し、次代を見据えて若返りが求められる時期に差し掛かっている。若手の成長、力量を把握し、人望も厚い藤本氏は適任と言える。

藤本氏は右の強打者として南海最終年の88年に1軍に定着し、福岡移転した89年からのダイエー草創期に三塁のレギュラーとして、「ひげ」をトレードマークに佐々木、岸川、湯上谷らと平和台球場を沸かせた。チームに少ない南海、ダイエー、ソフトバンクの流れを知る男でもある。就任がまとまれば、南海出身者の監督は球団では89年杉浦忠以来となる。王-秋山-工藤という常勝の系譜を受け継ぎ、チーム再興が期待される。

◆藤本博史(ふじもと・ひろし)1963年(昭38)11月8日生まれ、大阪府出身。天理から81年ドラフト4位で南海入団。ダイエー時代の90年7月7日の日本ハム戦でサイクル安打を達成。98年途中にオリックスに移籍し、同年に引退。通算1103試合出場で715安打、419打点、105本塁打、打率2割3分5厘。引退後は解説者などを務め、11年に2軍打撃コーチとしてソフトバンクに復帰し、1軍打撃コーチや3軍監督を務め、今季から2軍監督。現役時代は184センチ、92キロ。右投げ右打ち。