開幕から6試合目、BIGBOSSが待望の初勝利を挙げた。就任1年目の日本ハム新庄剛志監督(50)が開幕からの連敗を5で止め、本拠地・札幌ドームでウイニングボールを受け取った。先発の立野和明投手(23)が5回4安打2失点で踏ん張り、打線も浅間大基外野手(25)の先制2ランに盗塁や犠飛も絡め、中押し、ダメ押しと効果的に加点。全員野球で1勝目をつかんだ。開幕連敗の球団ワースト記録を回避し、反攻に転じる。

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BIGBOSSの左手には、選手から手渡されたウイニングボールが、しっかりと握られていた。ファンが待つスタンドに人さし指を掲げ、ようやく勝利の報告だ。「皆のサポートがあって、この1勝を勝ち取れた。(ボールは)この札幌ドームに飾ってもらおうかなと思います。最後の年なので」。勝利球は、今季いっぱいで役目を終える本拠地にささげることに決めた。

「勝敗はオレが全部、責任を取る」。どーんと構えて、得点が入れば、誰よりも大喜びする。そんなBIGBOSSに引っ張られるように、負けが続いても、チームは明るさを失わなかった。

采配に批判の声があることは、監督も選手も、もちろん知っている。この日、先発した3年目の立野は前日、「監督がたたかれないように、明日(3月31日)は投げます。1面書く準備をしておいて下さい」と、鼻息荒く報道陣に宣言。すくすく成長中の右腕は、3-2と1点差に詰め寄られた5回、なお1死二塁のピンチで3番外崎、4番森を打ち取り、踏ん張った。新庄監督は「すごく心強い。ああいう投球をしてくれて、うれしい」と、普段はフワフワしている“天然系右腕”の力投に目を細めた。

「今のファイターズは経験を積み重ねて、日々成長していくというチーム。勝ち負けという意識は、そんなにない」

新庄監督は連敗の間、家に帰ると試合の映像を見直し、反省点を洗い出した。守備や走塁で、キャンプから練習してきた積極的なプレーによるミスは、決して責めない。まだまだ、成長途中のチーム。「選手の歯がゆい表情を見ているのが、一番歯がゆい。失敗して学んでいく。ミスをした後というのは、必ず学ぶから」。開幕から目先の勝敗ではなく、ずっと先を見てきたから、焦ることも、落ち込むこともなかった。

選手やファンにとって待望の1勝にも「あまり『やった~!』とかは、ないかな。もう少し、ドラマが欲しかった。あと5くらい負けても良かった」とカラッと笑った。そして、「そんなに弱い人間じゃないよ、オレは。すんげえ逆境を、乗り越えてきてるから」。残る137試合、ドラマチックなストーリーを紡ぎながら、シーズンを彩る。【中島宙恵】