虎キラーで落とした。広島床田寛樹投手(27)が阪神12回戦(甲子園)に先発。今季3戦3勝と好相性の相手だが、2点リードの4回に3点を失い、逆転された。打線の反発もなく、今季阪神戦初黒星で5敗目を喫した。チームの開幕からの阪神戦連勝も「9」(2分けをはさむ)で止まった。4位阪神には1ゲーム差に迫られた。7日も敗れると、6月20日以来のBクラス転落となる。

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マウンドから床田が本塁ベースカバーに向かう。祈りを込めて打球の行方を見つめた。左翼手羽月は定位置やや後方から猛チャージ。力の無い飛球を追ったが、無情にも白球は芝生に落ちた。返球はこない。ぼうぜんと立ち尽くし、生還した走者2人を見送った。

2点リードの4回。2死から連打と四球で2死満塁とし、北條を迎えた。カウント2-2と追い込み、内角152キロで差し込んだが、左前にポトリとはずんだ。走者2人がかえり、同点。「力を入れた分、詰まる幅が大きくなって、間に落ちてしまった。高かったからだと思う」。わずかに浮いた勝負球を悔いた。

ここで踏ん張りたかったが不運は重なった。2死一、二塁とピンチは続き、打者は山本。ツーシームで芯を外した。打球に勢いはなかったが、遊撃手小園のグラブのわずか右を抜ける中前適時打。二塁走者が生還し、勝ち越し点を与えた。これが決勝点となる大きな1点になった。

今季無類の好相性もかなわなかった。登板前には今季対戦成績3戦3勝も「そろそろ危ないんじゃないか」と懸念した通り、4戦目にして黒星をつけられた。「内角を狙ってきてるかなと思った。ある程度(対策)してきてると思った。再来週また当たるので、やり返せるように頑張りたい」。2週後に控える本拠地での同戦に向けて、早くも闘志を燃やした。佐々岡監督も「床田はあの回だけだった。粘った投球だった」と左腕の力投を称賛した。

チームは今季の阪神戦、12戦目にして初黒星。4位阪神には1ゲーム差に迫られ、7日も敗れると6月20日以来のBクラスに転落する。指揮官は「明日も全員で戦わないといけない。我々は(阪神戦が得意という意識は)持っていない。紙一重の戦いが続いていた。また明日気を引き締めてやるだけ」。Aクラス死守へ、今季初敗戦後の一戦は落とせない。【前山慎治】

○…打線が先発西勇ら阪神投手陣に今季最少2安打に抑えられた。2回に坂倉の2ランで先制も、その後は投手床田の左前打のみ。7回以降は走者を出すこともできなかった。朝山打撃コーチは「(西勇は)いつもは(両サイドに)散らしていたのが、今日はインサイドを続けたり、いつもとは違う球使いだった。(選手とは)試合中にも話はしていたけど、うまくいかなかった」と首をひねった。

○…好調坂倉が8号先制2ランを放ち、20試合連続安打とした。2回無死一塁で阪神西勇の141キロ直球を捉え、右翼席に突き刺した。球団での20試合以上の連続安打は、19年の西川(27試合)以来。この日、阪神近本が記録した30試合連続安打には「数字と戦っていいことはないので、あまり数字にとらわれず、いい打席内容が増えているのでそれを続けていけるように頑張りたい」と足もとを見つめた。

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