日本シリーズ2連覇へ、ヤクルトが劣勢の展開から延長12回引き分けに持ち込んだ。

土壇場から「ヤングスワローズ」の一振りで流れを引き戻した。

0-3の9回無死一、二塁。内山壮真捕手(20)はオリックス阿部に対し2球で2ストライクと追い込まれるが、慌てない。3球目のカットボールをファウルとすると、4球目、5球目のスプリットを見極めた。カウント2-2。6球目の真ん中高め141キロ直球をフルスイングした打球は、燕党の歓声に乗り、左翼席に弾んだ。

さっそうとダイヤモンドを周回し、ベンチのナインと笑顔でハイタッチ。「腹をくくっていくしかないと思ってました。1年間、1軍で出させていただいて、その経験が、今日の1打席に詰まっていたと思います」とうなずいた。

171センチ、71キロと体は小さいがパンチ力が持ち味。今季初めて開幕1軍入りを果たし、高卒3年目の長岡らとともに「ヤングスワローズ」として奮闘。今季は74試合に出場し、打率2割3分2厘、4本塁打、19打点。貴重な1軍戦力となった。「たくさんいいことも経験できてるので、すごくいい1年になってるなと思います」と振り返るが、CSファイナルステージでは1試合、代走のみ出場で打席も守備機会もなし。迎えた日本シリーズの大舞台で最高の結果をもたらした。

星稜高では2年時から4番に座り、1学年上の奥川とともに夏の甲子園準優勝。2年夏は遊撃手だったが、同秋から捕手に復帰した。右と左、体格の違いはあるが、3学年上の主砲村上からも助言を受ける。「スイングの軌道であったり、どういう打ち方をしてるのかを聞いてます」。

5月24日日本ハム戦(神宮)のプロ1号も、8回2死からの代打弾だった。「高津監督から『小さくならず、思い切ってプレーしなさい』ってことは常日頃、言われてるので伸び伸びプレーしていきたい」と肝に銘じている。1勝1分けで勝負の舞台は移るが「しっかり自分の仕事をできればなと思います」。小さな体で大きな結果を残していく決意だ。【鈴木正章】

▼シリーズ初打席の内山壮が9回に代打で同点本塁打。シリーズで初打席本塁打は21年<1>戦モヤ(オリックス)以来16人目となり、代打本塁打は21年<5>戦ジョーンズ(オリックス)以来31人、33度目。初打席で代打本塁打は70年<2>戦井石(ロッテ)81年<1>戦松原(巨人)95年<1>戦大野(ヤクルト)21年<1>戦モヤに次いで5人目。土壇場の9回に代打で同点弾を放ったのは、初打席の81年<1>戦松原、94年<4>戦大久保(巨人)96年<1>戦大森(巨人)に次いで4人目だった。また、内山壮は現在20歳3カ月。シリーズの最年少本塁打は52年<6>戦森下(南海)の19歳1カ月で、内山壮は6番目の年少アーチ。初打席本塁打は05年<1>戦今江(ロッテ)の22歳1カ月、代打本塁打は57年<5>戦十時(巨人)の21歳6カ月を抜いてともに最年少となった。

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