オリックスが17日の正午、大阪市内の杉本商事バファローズスタジアム舞洲で黙とうを行った。横田球団本部長、福良GMらフロント、コーチ陣、選手含めて約100人が三塁線に整列。神戸市の方角に向かい、祈りをささげた。

震災の起きた95年、当時は神戸を本拠地にしていたオリックスは「がんばろうKOBE」を合言葉にパ・リーグを制覇し、翌96年は日本一。昨年はそれ以来の日本一を果たし、前回優勝時の主力メンバーだった田口壮外野守備走塁コーチ(53)のもとにも、被災した知人から喜びの声が届いたという。

「結構、神戸方面の方の(祝福の)連絡は多かったです」と昨秋を思い起こし、震災直後に思いをはせた。「ああいう状況にもかかわらず応援してくださっているということで、感謝しかなかったですし、それになんとか応えようという一体感はすごく感じました」。生活再建に奔走しながら、球場に駆けつけたファンが醸し出す熱気。フェンス越しの懸命な応援に応えたい一心で、オリックスは2シーズンを勝ち抜いた。

以来「常に人を前向きにできるというか、勇気を与えられるような、明るく楽しく生きていけるようなプレーをしたいですし、球団の一員としてそういう振る舞いをしていきたい」という使命を忘れたことはない。

オリックスの思いを、ルーキーも受け継ぐ。ドラフト1位の曽谷龍平投手(22=白鴎大)は「苦難を乗り越えてきたことは、これからの野球においてもつながってくる。今、野球ができていることに感謝してプレーしたいです」。順調なら18日にブルペンに入る予定。目標とするエース山本のように、投球で人の心を動かせる投手を目指し、歩みを進める。【堀まどか】