ロッテがミラクルを起こした。劇的な逆転サヨナラでソフトバンクに勝ち、CSファーストステージを突破した。延長10回に救援陣が崩れ、3失点し、万事休すかと思われた。だがその裏にドラマが待っていた。無死一、二塁、今季1本塁打の藤岡裕大内野手(30)が右中間に起死回生の同点3ラン。最後は2死一塁から安田尚憲内野手(24)が右中間への適時二塁打を放った。対戦成績を2勝1敗としたロッテが、オリックスとのファイナルステージ(18日開幕、京セラドーム大阪)進出を決めた。

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藤岡が起死回生の右中間同点3ランだ。10回に3点を失ったが、闘争心は失っていなかった。10回裏、先頭の代打角中が中前打で出塁、荻野が三塁前にボテボテながら執念の三塁内野安打。無死一、二塁で藤岡。ソフトバンク津森の初球を積極的にスイングした。甘く入った148キロの直球を右中間に運んだ。今季レギュラーシーズンで放った唯一の本塁打もソフトバンク戦だった。

藤岡は一塁をまわると、喜びをかみしめるように右拳を握った。ベンチにいた仲間も総立ち。飛び出して喜んだ。大声援を送り続けてきた大観衆も総立ち。「ONE TEAM」で戦ってきたロッテの23年。吉井監督、選手、スタッフ、ファンが文字どおり1つになった証し。ベンチに戻った藤岡の目も真っ赤だった。

中5日での先発を託された小島は7回途中4安打無失点で期待に応えた。「荻さん(荻野)をはじめ、みんなに助けてもらいながら一番いい形で中継ぎにつなげることができました」。野手も、6回1死二塁から小島が近藤に右前打を許しても、チーム最年長37歳の荻野が、本塁を狙った二走柳田をストライク送球。佐藤都捕手も懸命にタッチし、守った。マウンドを引き継いだ2番手の西村、8回は沢田、9回は守護神の益田と、気迫あふれる投球で、1人の走者も許さないパーフェクトリレー。耐えた。つないだ。

最後は10回2死一塁、安田が右中間に適時二塁打を。大塚コーチも腕をグルグル回す。一塁走者の岡も激走。さらに加速。ヘッドスライディングで捕手のタッチをかわし、サヨナラを決めた。4時間18分の熱戦で、オリックスの待つファイナルステージへの勢いも加速した。【鎌田直秀】

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