オリックスの「負けない男」が82年ぶり2人目の快挙を達成した。東晃平投手(24)が西武戦に今季初先発し、7回1失点の好投。22年から無傷のデビュー8連勝とした。オール先発でのデビュー8連勝は、1942年に10連勝した藤本英雄(巨人)以来。前夜は3連敗で4年ぶり単独最下位に沈んだチームを救った。

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東は戦前にマークされた記録に並んだと聞いて、笑いながらも実感がないようだった。「すごいなと…。すごいなと思います」。育成出身から22年7月に支配下となり、同年デビューから8連勝。中継ぎの登板もあったが、白星はすべて先発で積み上げた。

好調の西武打線を淡々と封じた。最速154キロの直球を軸にツーシーム、カットボールと幅を広げて的を絞らせなかった。カーブも効果的にも決まった。7回に外崎にソロを浴びて1点差も、後続を断った。連勝が続く要因を「球数がかかってもいいから、1人ずつ全力で勝負しているのが一番」と自己分析した。

勝負どころの7回、先頭のコルデロを迎え、捕手若月のサインに4度首を振り、プレートを外した。こんなしぐさに若月は成長を感じた。「去年まではああいうのがなかった。イニング途中のコミュニケーションは、去年は僕が主導だったけど、今年は『こう行きたいです』とか言ってくれる」。結果的に一ゴロ。十分に考えながらの投球が、女房役にも伝わってきた。

ドジャースへ移籍した山本由伸からもアドバイスをもらったツーシームを、今季は縦と横の2種類に使い分けている。本人は縦を「シンカー」、横を「ツーシーム」と呼んで同じ握りで器用に曲げ方を変えている。「横曲がりの方をしっかり投げられるように。食い込ませる意味で」とキャンプから意識。そんな武器で右打者の腰を引かせた。

無敗記録は「運もあるので」とあまり意に介さず、願掛けもしていない。背番号が95から12と軽くなった今季は「最低10勝」と重い責任を自らに課す。まずは1勝目で連敗ストッパーとなり、昨季はなかった同一カード3連敗を阻止。「今年もいけるなって気持ちになれた」。エース山本が抜けた先発陣の中心として、チームを前に動かしていく。【大池和幸】

▽オリックス中嶋監督(好投の東について)「あらゆるコース、緩急、高さすべて使って、うまく攻めた。だんだん力をつけて、持っているものは非常に良くなっている」

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